研究課題/領域番号 |
20K00883
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
巽 徹 岐阜大学, 教育学部, 教授 (10452161)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 小学校英語 / 読むこと / 英単語認識 / 学習時間 |
研究実績の概要 |
本研究は、小学校4~6年生の英単語文字認識に影響を与える要因を明らかにしようとするものである。岐阜・愛知県の公立小学校9校(児童2,525名)に協力を得て「英語クイズ」を実施した。英語で表記した「月の名前、曜日の名前」が混在したリストを見て、一つだけ含まれる曜日の選択肢を選ぶ問題などで構成されている。児童には、解答に加え選択の理由も答えてもらった。その結果、「単語の意味」に注目して判断する児童と、単語の長さや文字の太さの違い、共通の文字の有無など、「単語の見た目や形」に注目して判断する児童とが存在することが分かった。 「クイズ」では、児童の学校内外における「総英語学習時間」も併せて調査したが、「総英語学習時間」が 220時間に達する児童の8割以上が「単語の意味」に注目して判断しているのに対して、220時間に満たない児童では220時間以上の児童に比べて「単語の見た目や形」の特徴を優先させて判断している児童が多く、意味に着目して判断する児童は8割には達していないことが分かった。8割程度の児童が「単語の意味」に注目して判断するようになるには「総英語学習時間」が概ね200~220時間程度が境目であることが明らかになった。つまり、音声で十分に慣れ親しんだ基本的な英単語であっても、8割以上の児童が文字を見てその意味を想起できるようになるには、児童の「総英語学習時間」がある一定時間に達していることが認識を可能にする要因の一つであることが考えられる。 学年ごとに着目すると、5、6年生は、上記の傾向が見られるのに対し、4年生では、「総英語学習時間」が同程度であっても、5、6年生に比べ意味に着目する児童の割合が少ないことが分かった。また、英単語を見て発音を想起する設問でも4年生と5,6年生では異なる傾向が見られ、他の要因についても今後調査を継続する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究では、岐阜県内外の小学校9校の4年生~6年生2,525名の協力を得て英単語認識に関する調査を実施し、分析が順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度も概ね同数の小学校の協力を得て調査を継続していく。2020年度の調査の分析結果との比較を行い、学習総時間と英単語認識の関係、さらには、小学校英語授業における「英語の文字指導の有無、内容」と英単語認識の関係について明らかにしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症拡大により予定していた学会への参加、現地に赴いての調査がオンライン等での実施となったため支出が予定額を下回った。
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