研究課題/領域番号 |
20K00939
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
関 周一 宮崎大学, 教育学部, 教授 (30725940)
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研究分担者 |
石川 千佳子 宮崎大学, 教育学部, 教授 (10184483)
大野 匠 宮崎大学, 教育学部, 教授 (90590977)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 妙覚寺 / 日蓮聖人坐像 / 法華嶽薬師寺 / 天井画 / 十二神像板絵 / 麟祥院蔵大般若波羅蜜多経 |
研究実績の概要 |
(1)宮崎県内の仏像・絵画については、次の2箇所の調査を実施した。 ①門川町勝蓮寺末寺妙覚寺跡「日蓮聖人坐像」。背面内刳り部墨書より、造立年代は応永元年(1394)である。結縁者は大原一族で、女性名もみえる。強装束と玉眼から鎌倉の肖像彫刻の様式を踏まえている。しかし一木造であり、単純化された顔貌表現や体躯の彫りは古様で、貞観彫刻の様相を残している。また面部には室町期の鋸挽きの痕跡がみられる。カヤの霊木を使用した貞観彫刻を、日蓮聖人坐像に作り替えた可能性がある。日向国における仏教文化の特徴を明瞭に示す事例である。 ②国富町法華嶽薬師寺 天井画・十二神像板絵。(ア)天井画は、双龍による「雲龍図」であり、禅宗寺院の法堂に描かれるものである。ただし描線は、やまと絵系の描線に近い。緑青や朱等、金も使用されていることから濃彩の装飾的な絵画だったと推測される。裏面の墨書から天正3年(1575)の作である。墨書には伊東氏配下の職人名がみえ、研究が進んでいない、戦国時代の南九州における職人とその組織を知り得る史料である。(イ)十二神像板絵は、4枚が現存している。背面の墨書によれば、すべて永禄6年(1563)に作成された。願主の大岳慶雄という法諱・道号から、同寺が天台宗から禅宗に改宗した後に作成されたことがわかる。板は割矧ぎしたものを、縦4箇所にみられる木釘で1枚の板絵に成形していたと推測される。 (2)西都市麟祥院蔵「妻萬宮旧蔵大般若波羅蜜多経」調査に関して、研究協力者の山田渉が、「麟祥院蔵(都萬神社別當神宮寺旧蔵)大般若波羅蜜多経に関する調査所見」および「西都市麟祥院蔵「妻萬宮旧蔵大般若波羅蜜多経」調査方式草案」を、研究会において報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のため、西都市麟祥院所蔵の大般若波羅蜜多経の調査を実施できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
(1)引き続き宮崎県内の寺院の仏像・絵画調査を実施する。 (2)麟祥院蔵の大般若波羅蜜多経調査を行う。 (3)(1)(2)の成果を、研究会において検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、麟祥院蔵の大般若波羅蜜多経調査ができなかったためである。次年度の同調査の人件費・謝金に充てる予定である。
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