本研究は、唐朝が服属してきた周辺民族を統治したシステム(いわゆる羈縻支配)について、主に新中国成立後に出土した墓誌や近年その価値が再認識された伝存石刻史料などの分析を通じ、これまで漠然と認識されていた「緩やかに間接的に周辺民族を統治」していたという羈縻支配像の再検討を行った。その結果、この統治には地域、時期によって多様性があると予想される。本研究では、唐朝の東北に位置した営州付近のエスニック集団の統治の具体的様相を石刻史料を通じて分析し、この地域では唐朝による直接統治とエスニック集団による間接統治が混在している姿を確認することができた。
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