研究課題/領域番号 |
20K01117
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研究機関 | 北九州市立自然史・歴史博物館 |
研究代表者 |
上野 晶子 北九州市立自然史・歴史博物館, 歴史課, 学芸員 (50455565)
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研究分担者 |
田村 均 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40201628)
日比野 利信 北九州市立自然史・歴史博物館, 歴史課, 学芸員 (90372234)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 小倉織 / 諏訪小倉 / 双糸 |
研究実績の概要 |
(1)松本市立博物館において、下横田町の庄屋であった市川家文書のうち、小倉織関係資料を調査した。市川家は町年寄的役割を果たしており、小倉織の元締めである油屋・松田屋の名前を確認することができた。また、天保13年の生産量は両者とも727本で、その金額は145匁4分であることが分かった。また、松本城下においては、出来の良い糸は小倉織の帯に使用し、出来が悪い糸は地木綿に使用することとなっており、小倉織の品質において糸が重要な役割を果たしていたことが改めて確認できた。 (2)諏訪市博物館において、「諏訪小倉」として登録されている資料の確認をおこなった。これらの資料は、およそ60番手から80番手のZ撚りの糸を引き揃えて双糸であったことから、二タ子織りの可能性が高いことが明らかとなった。ただし、諏訪市内で確認された袴のうち、経糸に手紡ぎ双糸、緯糸に手紡ぎ単糸を使用したものを確認することができた。この袴の経糸は1cmあたり18本使用しており、他地域の小倉織に比べると密度が低い。これは、諏訪地域の小倉織が糸の本数を減らして大衆向けに低価格で販売していたという先行研究を裏付ける資料である可能性が高い。 (3)岡谷蚕糸博物館において、諏訪式繰糸機を発明した武居代次郎資料のうち、「潮」上部にある真田紐の調査をおこなった。この紐は手紡双糸を袋織りにした紐で、小倉織の特徴を有しているといえる。 (4)梶谷宣子氏が所蔵する染織コレクションの予備調査をおこない、手紡双糸の木綿布の確認をおこなった。インドから東南アジアにかけて生産されたと考えられる木綿布のなかに双糸を確認することができ、小倉織の起源が海外の木綿布の模倣である可能性を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の流行により、史料調査がおこなえなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
これまで調査してきた各地の小倉織のデータをまとめ、報告書を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行により、現地調査が当初の予定より大幅に遅れ、調査データの分析および報告書作成のための準備が進まなかった。本科研の報告書作成・印刷費として使用する予定である。
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