研究課題/領域番号 |
20K01210
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鈴木 建治 北海道大学, 文学研究院, 共同研究員 (00580929)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アイヌ・コレクション / 博物館 / 北海道 |
研究実績の概要 |
令和2年度に予定していた研究は、新型コロナウイルスの影響により大きな変更を余儀なくされた。最大の変更点は、本研究の根幹をなすロシア博物館の資料調査を実施することができなかった点にある。そのため、本研究課題を遂行するため、研究対象をロシア博物館ではなく、日本国内における博物館等の施設に焦点を当て、研究課題で想定していたアイヌ・コレクションの形成過程の解明を進めることにした。 令和2年度の研究成果は、北海道浦河町立郷土博物館所蔵のアイヌ・コレクションの調査により、戦後のアイヌ・コレクション収集に関する歴史的経緯を明らかにしたものである。本研究で扱ったアイヌ資料は1960年代から70年代までを中心に浦河町で集められたものが核となっている。20世紀初期を軸としてその前後で収集された、いわゆる「伝統的なアイヌ文化」が営まれてきた時代の資料から、現在の「受け継がれてきたアイヌ文化」の中で生み出されている資料に至るまでの、その間を埋める時期に属するアイヌ・コレクションと位置付けられる。戦後からのアイヌ文化の復興の中で、北海道の各地域で起こった博物館の設立と連動しながら、地域に根差した博物館がアイヌ文化とどのようにかかわってきたのか、という北海道の一特殊性を考慮した資料調査を実施していく必要があろう。そのような視点に立ちながら、アイヌ・コレクションの形成との関連性について検討した。 浦河町における初期のアイヌ資料収集の動きには、地域のアイヌ民族の協力の下、浦河町郷土史研究会が実施した調査・収集・保存などの活動、そしてその活動の延長上に位置する郷土館(博物館の前身)の開設と関連していたことがわかった。また、浦河町以外の人物が資料の提供を行い、博物館の展示品の幅を広げていったことも指摘できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響により、ロシア博物館のアイヌ資料調査が実施できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策については、新型コロナウイルスの影響により海外調査の実施が見通せない現在、代替案として行った令和2年度の国内アイヌ資料調査を引き続き実施していくこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度予定していたロシア調査が実施できなかった点が大きい。次年度では、北海道を中心とした国内調査にシフトし研究課題を実施していく。また、研究課題内で当初から予定していた調査で使用するカメラ機材の購入も進める。
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