研究課題/領域番号 |
20K01210
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鈴木 建治 北海道大学, 文学研究院, 共同研究員 (00580929)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アイヌ・コレクション / 博物館 |
研究実績の概要 |
令和3年度についても、新型コロナウイルスの影響により本研究課題において大きな変更を強いられた。令和2年度に引き続き、最大の変更点は、ロシアの博物館等の資料調査を実施することができなかった点にある。そのため、本年度も、研究対象をロシアの博物館等所蔵資料ではなく、日本国内における博物館等の施設に焦点を当てて、アイヌ・コレクションの形成過程を進めることにした。また、以前データ収集したロシアの文書館所蔵のアイヌ・コレクション(文書資料)の分析も行った。 (1)北海道むかわ町穂別博物館所蔵のアイヌ・コレクション(民具資料)の調査 むかわ町穂別博物館所蔵のアイヌ・コレクション145点について、コレクションの形成過程を調査した。その結果、収集時期は2つに分けることができた。1つは旧穂別町教育委員会がおそらく町内で1961年頃に収集した資料群であり、もう1つは旧穂別町立博物館の開館前後に当たる1980年代に収集された資料群であることが判明した。また博物館収蔵資料は、地元のアイヌ民族における文化の学びと文化復興などに寄与している状況も確認することができた。 (2)ロシア国立古文書史料館所蔵のアイヌ・コレクション(文献資料)の分析 ロシア国立古文書資料館にて現地調査(2017年6月と2019年12月の計2回)し収集したデータを本年度分析した。この文書資料は、1778-1779(安永7-8)年にシャバーリンやアンチーピンといったロシア側の使者が蝦夷地に来航したときのロシア側の記録である。解読した結果、その中に千島や蝦夷地でのアイヌ民族に関するこれまで知られていなかった歴史が記載されていた。今後、日露の関連文書等を合わせて詳細に検討していくことで、アイヌ民族の新しい歴史像を提示できると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響により、ロシアの博物館等における資料調査を実施できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策については、新型コロナウイルスやウクライナ問題によりロシアにおける調査の実施が見通せない現在、代替案として日本国内にあるアイヌ・コレクションの調査と、既に調査済みのロシア側のアイヌ・コレクション関連データの分析を実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度同様、当該年度も予定していたロシア調査が実施できなかった点が大きく、またコロナ禍で思うように国内調査も実施できなかった点も挙げられる。次年度は、国内調査を重点的に進めることで研究を行う。
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