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2023 年度 実績報告書

先住民の出稼ぎ労働をめぐる国際移動・国内移動

研究課題

研究課題/領域番号 20K01221
研究機関跡見学園女子大学

研究代表者

森谷 裕美子  跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (40221709)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード技能実習生 / 先住民 / 国際移動
研究実績の概要

本研究の目的は、フィリピンで長年、低地民から周縁化されてきた先住民が、近年、農業技能実習生として日本に送出されるようになったことで、帰国後、ここで得た資金をもとに大規模な農業経営を行い経済状況を改善させているだけでなく、低地民を労働者として雇うことで、そこに「雇用者」と「使用人」という地位の逆転現象が起きているという事実に注目し、彼らの日本での生活実態や先住民の土地で働く低地民の状況を明らかにするとともに、そうした移動がもたらす文化変容について分析することで、在日外国人労働者や移民送出国の人々に対する支援の在り方を検討することであった。
そこで最終年度にあたる今年度は、国内で技能実習生として働くフィリピンの先住民の実態を明らかにするために、彼らを長年、受け入れてきた高知県で調査を行なった。ここで明らかになったことは、高知では、実習生たちが特に大きな問題もなく働いており、それは、県が、何かと負の面が強調されがちな技能実習制度をうまく利用することで地域の農業を維持し、送出先には農業関係の技術援助などを行うことで、両者の間に良好な関係を築き上げてきたことによる。
結論として、技能実習制度には様々な問題があるが、必ずしも日本で働く実習生が人権侵害の被害者になるわけではなく、彼らは「自ら意欲し行為し発達する主体」であり、フィリピンの先住民たちもまた、こうした移動によって単に経済的な豊かさを得ただけでなく、低地民の雇用者となるという社会関係の逆転まで起こすようになった。こうした事実を踏まえ、技能実習制度の見直しについては、現場や当事者である実習生が混乱することのないよう慎重に進められなければならず、実習生の受け入れについては、彼らを、地域の基幹産業である農業を支える重要な担い手であり共に生活する者として考え、その問題を雇用する農家だけでなく、地域全体で考えていく必要があるといえる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 農業分野の技能実習制度と高知で働くフィリピン先住民の関係性2024

    • 著者名/発表者名
      森谷裕美子
    • 雑誌名

      『跡見学園女子大学人文学フォーラム』

      巻: 22 ページ: 16-36

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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