研究課題/領域番号 |
20K01277
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中島 徹 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (60366979)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 水への権利 / 生存権 / 財産権 / 憲法上の権利 / 実定法上の制度 / コモンズ / 社会的資本論 / 森林法判決 |
研究実績の概要 |
本年度は、「インフラと法」を特集した法律時報94巻10号(2022年)において本研究主題に関わる「水への権利とは何か」を公表した。同論文は、「水への権利」という、日本の法律学では通用力が高いとは言えない語を手掛かりに、それを日本国憲法上の権利として論じることを目的としたものである。そもそも、日常生活においては、水は「権利」の対象と観念されてすらいないことから、本稿では、まず「水への権利」の意味するところを生存権や財産権等の憲法上の権利との関係についてさまざまな観点から検討した。その上で検討の中心としたのは、水を必要とする他者を排除しない権利を憲法上の権利として論じることができるかどうかという点である。これは本研究テーマの出発点である「水への権利」の観念を法律学に定着させるために第一歩としての意味を持つ研究である。 もっとも、憲法上の権利として「水への権利」を原理論の観点から抽象的に論じるだけでは人間の生存に必要不可欠な水を権利として保障することはできない。そこで、水道インフラを実定法制度として整備するための議論が不可欠であることから、上記論文と表裏一体の関係にある研究として「憲法上の権利と実定法上の制度」(早稲田大学法学会編『早稲田大学法学界百周年記念論文集第一巻公法・基礎法編』成文堂、2022年)を公表した。 引き続き、水への権利を具体化するために検討すべき課題は山積しているが、コモンズ論や社会的共通資本論に安易に与せず、独自の理論構成を構想中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ようやく小休止を見たコロナ禍で、この3年間は当初予定した海外の水問題の現場での実地調査ができないことから、当初予定していた実証研究を断念し、理論研究に研究の方向性をシフトさせた。その点では、一応の進展を見ており、研究成果も公表できたが、今後当初の予定に戻ってその研究を完成させることができるかどうかは、今後の社会状況の推移によるため今田三津雄ことができない。
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今後の研究の推進方策 |
感染病の今後の推移に応じて今後の研究方向は左右されるため具体的な方策は現在検討中であるが、過去3年間の研究を踏まえて、理論研究を深化させることは確定している。あとは、当初の研究計画で想定していた実地調査をどこまでできるかによる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定した現地調査が社会状況により困難となったため、その分の支出が不要となったため。今後再開が可能であれば逆に支出額は増えることになる。
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