研究課題/領域番号 |
20K01300
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
田村 達久 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (60304242)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 持続可能性 / 社会縮小 / 持続可能な開発目標 / 公営企業 / 企業的活動 |
研究実績の概要 |
本研究課題に係る考察を進める当たり、①国際的な視点つまり比較法的な視点と、②日本国内的諸背景・動向の視点との両視点が必要不可欠であった。 前者との関係では、日本の地方公共団体の経済活動とグローバル経済との法的関係を分析するための視座を得るべく、ドイツ連邦共和国の地方公共団体の行政活動に係る経済行政法制・理論の調査、検討を関係文献調査を通じて行った。 後者との関係では、法定地方公営企業たる水道事業(地方公営企業法2条1項1号)に着目すると、当該事業活動を継続していくためには、水道水源の一定の開発・確保・維持との関係での水源開発の必要性が肯定される一方で、そのための維持・管理に要する費用の利用者住民による分担、さらには、当該事業の管理主体たる地方公共団体の負担が、人口減少・社会縮小の時代においてはこれまでどおりには継続し得ない状況になっている。国連の採択した17の持続可能な開発目標(SDGs)と関連付ければ、水道水源の開発・確保・維持は、今後の社会縮小時代において、その15番目に掲げられている「陸の豊かさも守ろう」との目標との整合性の如何が問われることになるものである。同時に、生存配慮のインフラストラクチャーたる水道事業も、受給者住民の規模の増減に対応すべきものであることから、都市等の地方公共団体の規模等を将来に向けて制御することによって、その持続可能性を図ることが可能となるし、必要でもある。したがって、本研究課題に係る考察においても、「住み続けられるまちづくりを」という別の持続可能な開発目標(国連の当該目標11番)の観点が密接に関係することを意識することが必要不可欠である。社会縮小時代のおけるまちづくりのあり方、すなわち、「縮減する都市」、「退縮型都市計画」に係る理論動向にも目を向けて、この観点をも考察の一視点に取り込んだ本研究課題の研究を進めることが重要となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を予防するとの外在的環境制約のある状況下においては、国内外の現地調査は抑制されており、大変困難となっている。そのため、文献調査を主軸に行わざるを得ないものではあるが、これまでのところ、必要と思われる文献の探索・収集とその内容検討は支障なく進んでいると考えられること、そして、そのことを基礎とする必要な考察・研究もおおむね大きな滞りを生じることなく、進んでいると判断されるため。
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今後の研究の推進方策 |
令和3(2021)年度も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を予防するとの外在的環境制約のある状況が続いており、国内外の現地調査は抑制されていることから、引き続き、文献調査を中心として研究を推進していかざるを得ない。 他方、研究実質面においては、令和2年度の成果を踏まえて、「住み続けられるまちづくりを」という持続可能な開発目標(国連のSDGs11番)の観点を強く意識しつつ、その視角からも、すなわち、社会縮小時代のおけるまちづくりのあり方、すなわち、「縮減する都市」、「退縮型都市計画」に係る理論動向にもさらに目を向けて、本研究課題の考察・研究を進めることが必要不可欠であると考えるので、このような方向も含めて研究を推進する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を予防するとの外在的環境制約のある状況下においては、国内外の現地調査は抑制されており、大変困難となっていたため、やむなく予定どおりの執行をなし得なかった。 当該制約は、次年度においても、誠に残念であるが、大きくは改善され得ないものと予想されるところであり、そのことを前提とした研究計画を措定しておくことが研究遂行にとって安全、確実であると思慮することから、翌年度分として請求した助成金と合わせた助成金の使用計画としては、次のように考えている。すなわち、現地調査に相当する情報等の取得・収集に可能な限り代替できるような実質的な研究遂行行為をなし得るようにするため、及び、当該行為の結果としての研究成果の整理・文書化をより効率的に実施できるようにするために、情報通信機器及び関連の周辺機器等の高度化を図るため、また、文献調査・検討を通じた研究遂行をより精密化するための関係文献等の収集にも、引き続き、助成金を使用する計画である。
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