研究課題/領域番号 |
20K01327
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
田中 伸至 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (80419332)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 保健医療制度 / 新型コロナウイルス感染症対応 / 医療アクセス |
研究実績の概要 |
令和2年度(2020年度)は、本研究の第1期として、ミュンスター大学に滞在する機会を利用して、関係法令や各州の病院計画等に関する資料を幅広く収集し、関係者にインタビューする計画であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の世界的流行のため渡航できず、予定していた作業はできなかった。 一方、この間、ドイツでも、保健医療制度において様々な新型コロナウイルス感染症対策が打ち出されている。それらの中には、アフターコロナの時代にも残っていくものも少なくないと考えられる。また、それに伴い、研究テーマである地理的医療アクセスに関する制度も一定の変容が生じる可能性がある。 そこで、2020年度は、ドイツの保健医療制度における新型コロナウイルス感染症対応に関する文献調査を行った。この調査を通じて、感染症対策の法的基盤である感染症防護法の概要とともに、病院法制や契約医法制における医療提供体制の維持や感染症医療へのアクセスを保障する機能を持つ対応・制度改正を把握する作業を行った。例えば、看護介護職員配置の最低基準の緩和、看護介護職員人件費報酬の引上げ、感染防止装備品の調達と費用補填、検査に関する請求権や検査対象、新型コロナ外来、集中治療室などの全国的な運用、医療機関の経営上の持続可能性を確保に役立つ診療報酬制度の改正などである。 こうした研究の成果については、田中伸至「ドイツ:保健医療制度における新型コロナウイルス対応」宇佐見耕一ほか編『世界の社会福祉年鑑2020〈2021年度版〉「特集」感染症と社会福祉 : コロナ禍と人間』(旬報社、2020年)137頁~163頁により公表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和2年度(2020年度)は、本研究の第1期として、ミュンスター大学に滞在する機会を利用して、関係法令や各州の病院計画等に関する資料を幅広く収集し、関係者にインタビューする計画であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の世界的流行のため渡航できず、予定していた作業はできなかった。このため、「遅れている」との評価をせざるを得ない。 ただし、「研究実績の概要」に示したとおり、アフターコロナの時代を見据え、今、可能であり、かつ、済ませておくべき調査研究を行い、今後の研究のための基盤を整備した。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度も新型コロナウイルス感染症の世界的流行が終息する見通しが立たないことから、現地での文献収集やインタビューは断念し、その代わりに、研究テーマに関連する文献を可能な限り収集し、第1期に予定していた作業を可能なところから行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の世界的流行のため、2020年度に予定していたドイツへの渡航ができなかったことなどにより、次年度使用額が生じた。 2021年度も新型コロナウイルス感染症パンデミックが終息する見通しもなく、海外旅費を支出できる見込みも立たないため、可能な限り、文献調査を行うこととし、しかるべく使用したい。
|