研究課題/領域番号 |
20K01327
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
田中 伸至 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (80419332)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 空間整備 / 中心地構想 / 医療アクセス / 病院計画 / 契約医の需要計画 / 医療機関の集約 |
研究実績の概要 |
令和3年度(2021年度)は、前年度に引き続き、本研究の第1期として、ミュンスター大学に滞在する機会を利用して、関係法令や各州の病院計画等に関する資料を幅広く収集し、関係者にインタビューする計画であった。しかし、新型コロナウイルス感染症のパンデミーのため、渡航できないまま、ミュンスター大学滞在予定期間・サバティカルの期間が過ぎてしまい、予定していた作業はできなかった。また、独語文献の取寄せも行ったが、繰り返し発送遅延が生じたため、資料収集にも難渋した。 そこで、研究計画の順序を入れ替え、資料を入手することができた分野・テーマの検討を先行させることとした。具体的には、人口減少地域での病院統合などに取り組んできたメクレンブルク・フォアポンメルン州の医療アクセスに関する制度や現況、州議会が設置する調査委員会における同州医療の将来像に関する議論を検討した。 その結果、連邦法や同州の法令、現状などを踏まえると、医療への地理的アクセスに関する制度は、交通、教育、社会資本の立地など広範な政策分野を対象とする総合的な空間整備の制度・政策の中に位置付けられていること、その中で、「同等の生活条件」の確保という明確な目的が法定されていること、その理念を達成するための方策として「中心地構想」が制度化されており、病院計画や契約医需要計画を含む多様な政策分野の行政計画などが緩やかに連動していること、こうした制度群の中に、医療費の節約、医療の質の確保、地理的医療アクセスの確保という3つの要請の優先関係に関する価値判断が内在していることなどを認識することができた。こうした研究の成果については、北海道大学社会保障法研究会(2022年3月26日)において報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和3年度(2021年度)は、前年度に引き続き、本研究の第1期として、ミュンスター大学に滞在する機会を利用して、関係法令や各州の病院計画等に関する資料を幅広く収集し、関係者にインタビューする計画であった。しかし、新型コロナウイルス感染症のパンデミーのため、渡航できないまま、ミュンスター大学滞在予定期間・サバティカルの期間が過ぎてしまい、予定していた作業はできなかった。また、独語文献の取寄せも行ったが、繰り返し発送遅延が生じたため、資料収集にも難渋した。このため、「遅れている」との評価をせざるを得ない。 ただし、「研究実績の概要」に示したとおり、入手できた資料に基づき、第2期以降に予定していたメクレンブルク・フォアポンメルン州の制度などの検討を先行して行い、第3期に予定していた、医療機能の集約と医療アクセス、交通などの相互関係のテーマに取り組み、研究を前に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度も新型コロナウイルス感染症のパンデミーが続くと見込まれることから、現地での文献収集やインタビューは断念し、その代わりに、研究テーマに関連する文献などを可能な限り収集し、第2期、第3期に予定していた作業を可能なところから行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症のパンデミーのため、2020年度から2021年度にかけて予定していたドイツへの渡航ができなかったことや、発注した独語文献の発送遅延が度重なったことなどにより、次年度使用額が生じている。 2022年度も新型コロナウイルス感染症の流行が終息する見通しも立たず、海外旅費を支出できる見込みもないから、可能な限り、文献調査を行うこととし、しかるべく使用する予定である。
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備考 |
北海道大学社会保障法研究会(2022年3月26日)において、「ドイツにおける医療機関の立地と空間整備・中心地構想」について、研究報告を行った。
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