研究課題/領域番号 |
20K01327
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
田中 伸至 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (80419332)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 医療アクセス / 統合診療 / 成果報酬 / かかりつけ医 / 薬価基準 / 医薬品 / Krankenhausreform 2023 |
研究実績の概要 |
令和5年度は、前年度から取り組んできた、統合診療「健康キンツィヒタール」についての調査検討を進め、さらに精査し、「かかりつけ医・保健医療連携・成果報酬 : ドイツの統合診療『健康キンツィヒタール』」(法政理論56巻1号(2023年)1頁-24頁)をとりまとめ、公表した。 また、日独両国における近時の医薬品供給不足の問題が医療アクセスに関わる問題であることを踏まえ、その検討ための基礎的研究として、前年度から引き続き、両国における医薬品に関する制度についての調査検討を進めた。その成果の一部として、わが国の薬価基準に関する制度の概況を整理し、近時の薬価基準に関する動向を法学的見地から検討した「薬価基準に関する法的分析」(社会保障法研究18号(2023年)57頁-111頁)を公表した。さらに、ドイツ医療保障制度に関する研究会編『ドイツ医療保障制度に関する調査研究報告書【2022年度版】』(医療経済研究機構、2023年3月、実態は8月刊行)第2章において、ドイツの医薬品に関する制度について概説した。 さらにこの間、ドイツでは、連邦政府が、本研究のテーマである人口減少下における地理的医療アクセスや医療の質の確保のあり方などに正面から取り組む、Krankenhausreform 2023に着手し、一部法案が審議されるに至った。主に州政府が扱ってきた上掲のテーマに連邦統一の規律を導入する、画期的な改革である。このため、本研究も、その検討対象を拡大し、新たな連邦法による制度にフォーカスしなければならない。そこで、改革の経緯、病院可視化法案、病院診療改善法案について、当面の調査検討を行った。この作業において、改革の特徴、意義を認識するとともに、日独間に制度の接近傾向があるのではないかとの感触が得られた。これらの成果については、北海道大学社会保障法研究会において報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで、研究計画に基づき、人口減少地域における州や地域レベルの政策について調査検討を行ってきた。新型コロナウイルス感染症パンデミーのため、ドイツへの渡航ができず、文献調査中心に方針転換し、進捗状況の挽回を図り、一定の成果を得てきたところである。 ところが、連邦政府が、本研究のテーマである人口減少下における地理的医療アクセスや医療の質の確保のあり方などに正面から取り組む、Krankenhausreform 2023に着手し、一部法案が審議されるに至った。主に州政府が扱ってきた上掲のテーマに連邦統一の規律を導入する、画期的な改革である。このため、本研究計画が前提としてきた法状況に大きな変化が生じてくることになるから、検討対象を拡大し、新たな連邦法による制度に焦点を当てることとした。こうした状況であるので「やや遅れている」との区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
大改革になると見られるKrankenhausreform 2023は、第1弾の病院可視化法案が成立したばかりである。現在、第2弾の病院診療改善法案の審議が行われており、救急医療改革なども進められる見込みである。それらについても、本研究計画の学術上の「問い」の観点から、調査検討を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
発注した独語文献の刊行や発送の遅延、注文キャンセルが相次いだりしたため、次年度使用額が生じている。引き続き、必要な文献を購入するなど、しかるべく使用することとしたい。
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