最終年度においては、前年度に引き続き、自白法則及び/又は違法収集証拠排除法則の適用が問題となった事例のうち、派生証拠が収集されている事例の分析・検討を行った。また、派生証拠に関する応用的な論点を含みうる事例群として、刑事免責制度(刑訴法157条の2,3)が適用された事例群と協議・合意制度(刑訴法350条の2以下)が適用された事例群に関する分析・検討も併せて行った。 これらの研究成果のうち、協議・合意制度に関する成果ついては、最終年度に論文を公刊することができた。同論文は、協議・合意制度が適用された近時の3件の事例(同制度の施行後、現段階に至るまで3件しか適用事例がない)につき分析・検討を加えたものであり、本研究の成果の一部をなすものである。 他方、それ以外については、全体像を構築するには至っているものの、分析・検討の対象となる事例の数が極めて多い(数百件に及ぶ)こともあり、現段階では、包括的なかたちで研究成果を公刊するに至っていない。例えば、最終年度に公刊した論文は、自白法則と排除法則の双方の適用が問題となった事例につき詳細な検討を加えたものであるが、当該事案に特化した(本研究の全体からすれば)個別的・断片的な検討を行っているにとどまる。自白法則と排除法則の適用が問題となった事例群に関する分析・検討は、本研究のいわば本体をなすものであることから、速やかに研究成果の公刊を目指すことにしたい。
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