本研究は、資本市場が市民的価値をいかに包摂すべきかとの世界的に益々進展する問いを前に、投資と資本市場を結ぶ法的論理が金融危機を受けてアメリカとヨーロッパとで分岐して展開していることに着目し、多層的な経済社会全体を媒介する貨幣・金融の性質をめぐる思考の対立構造を通じて、その経済社会循環全体における位置付けと分析を試みるものであり、成果として、第一に、社会投資の枠組みの不全の一角に近代の組合法制の転換過程がかかわること、第二に、国庫の金融化と長期信用の量的質的リスクの媒介のあり方を軸に具体的社会の政治経済構造の質を分析しうることを、見出した。
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