本研究は、人への見方が問われる民事責任法上のさまざまな法的問題の検討を起点として、フランス法との対比、および、隣接諸法や隣接諸学問分野の研究成果を踏まえつつ、現代において求められているあるべき法的な人の捉え方を探求し、そこから、現代における「人の法」を構想しつつ、人の捉え方と密接に関わる現代的な諸問題に関して具体的な解釈論や立法論を提示するものである。その際、本研究は、多様性と共通性、実体とさまざまな属性、現実性と仮定性、始期と終期、個人とそれを取り巻く存在との関係という5つの視点から、現代における人を把握することを試みており、その成果を基礎として、「人の法」を体系化している。
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