研究課題
基盤研究(C)
本研究では、報告者が年来従事してきた民事訴訟法の基礎理論的研究の成果を応用して、①重複訴訟と相殺の抗弁、②将来給付判決と事情の変更、③手続保障の欠缺に対する当事者の救済、という具体的問題に対して、時間相関的な観点から適切な制度設計の在り方を検討した。その結果、上記3つの論点のいずれについても、それぞれの問題の特性に応じた分析装置を用いつつ、具体的な解釈論的・実践的提言を伴う検討を行うことができ、その成果を論文として公表した。
民事訴訟法
本研究は、民事訴訟法領域における制度設計の際、①時間の経過、②当事者による訴訟制度の批判的観察、③当事者相互の動態的な相互行為、という多様な要素を考慮に入れた上で、基礎理論的な考慮を踏まえつつ、個別制度ごとに適切な制度的提言を行うことができた。全体の結論として、民事訴訟においては、当事者の視点からみて、行為可能性の点においても、その妥当性(とりわけ、一定の行為を推奨し、他の行為を制限する際には、その理由)においても、当事者に納得できる行為選択肢の系列を提供することが重要であることを指摘した。