本研究の課題は、20世紀初頭のイギリスにおけるフェミニスト運動と労働者階級の女性たちの思想を研究することによって、彼女たちが労働者としての自立と母性の狭間におかれていたことを明らかにすることである。この観点は、ジェンダー平等思想と公私二分法との関係と問うことであり、これまでの研究では十分に検討されていなかった点である。またそれは同時に、19世紀から20世紀初頭にかけての「効率性の時代」(G.R. Searle, 1971)におけるフェミニスト運動を「遠くの鏡」としながら、現代のグローバリゼーションと福祉国家の変容を映し出すことである。
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