本研究は、内生的な二値説明変数が誤分類されている計量経済モデルにおける識別問題を研究した。経済学の実証研究において、二値説明変数が誤分類されて記録されることは、自己申告による職業訓練への参加などでしばしば見られる。既存研究は、このモデルを、外生性と二値説明変数の測定誤差からの独立性という二つの除外制約を満たす操作変数を用いて識別している。しかしながら、実証研究においては、これらの除外制約を満たす操作変数を見つけることは容易ではない。本研究は、内生的二値説明変数が誤分類されている計量経済モデルを、一つの二値操作変数と一つの二値共変量を用いてノンパラメトリックに識別できることを証明した。
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