研究課題/領域番号 |
20K01622
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
浦田 秀次郎 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 名誉教授 (10185085)
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研究分担者 |
白 映旻 福山大学, 経済学部, 講師 (00844185)
横田 一彦 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (40390819)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 技術のスピルオーバー / グローバルバリューチェーン / 外国企業 / 賃金格差 |
研究実績の概要 |
本年では、国内企業によるグローバルバリューチェーン(GVC)への参加の企業への影響について、生産性および賃金への影響を中心に分析を行った。まず生産性への影響であるが、企業によるGVC参加を中間財の輸入、製品の輸出、中間財の輸入と共に製品の輸出という3つの参加パターンに分類し、それぞれの生産性への影響(技術のスピルオーバー)をインドネシア、フィリピン、ベトナムの3つの国について、2009年と2015年のデータを用いて分析した。分析結果からは、輸入と輸出への同時参加という形でGVCに参加した企業についてのみインドネシアにおいて生産性の向上効果が確認された。他の国について、これらの結果が得られなかった一つの理由としては、サンプル数が少なかったという問題がある。今後の課題としては、サンプル数が十分に確保できる国について同様の研究を行うことが挙げられる。国内企業によるGVCへの参加は外資系企業との取引関係を通じて行われることが多い。そこで外資系企業を誘致するために外資系企業受入国で必要な条件を検討した。具体的には、発展途上国における日本企業による直接投資を引き付ける要因として、二国間投資協定や経済連携協定などの国際的枠組みへの参加、経済成長率、インフラの整備状況、法制度の整備状況などの重要性を検討した。分析結果からは、国際的枠組み、その中でも特に包括的かつ高度な内容の枠組みへの参加が日本企業を誘致する際に重要であることが分かった。また、透明性が高く安定的な法制度の整備が重要であることも認められた。途上国では、それらの条件を独自で整備するだけではなく、国際機関や先進諸国からの支援を活用することも重要である。
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