研究課題/領域番号 |
20K01630
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
矢野 剛 京都大学, 経済学研究科, 教授 (90314830)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | M&A / イノベーション / 中国 |
研究実績の概要 |
中国における国有企業・国策企業中、M&Aの買収者となるのはM&A以前にどのような属性を持った企業であるのかについての計量分析がおこなわれた。より具体的には以下のような作業に着手し成果が得られた。 1) 今後の計量分析のために、R&D投資情報を含む中国上場企業マイクロパネルデータ、中国内資企業による特許申請・取得データ、中国国内M&Aデータの3つのデータをマッチングさせた統合データの作成が遂行された。 2)上記の統合データを用いてR&D投資或いは特許申請・取得を活発に行う企業ほど、M&Aの買収者となりやすいのかの考察が行われた。その結果、非国有企業では、R&D投資を最も盛んにおこなうグループがM&Aにおける企業買収にも積極的であり、またR&D投資への積極性において中間的な位置にあるグループもM&Aの買収者となりやすいことが明らかになった。また、国有企業では特許申請・取得の実績において中層レベルの企業がM&Aの買収者となりやすいことが解明された。 3)企業の内部資金の豊富さがM&Aの買収者となることを推進する要因であるか否かについても計量分析がおこなわれ、国有企業においては内部資金の豊富さがM&Aにおける企業買収を推進する要因となるが、非国有企業においてはそのような結果は観察されないことが明らかになった。国有企業におけるM&Aの動機付けとしての資金移転仮説を支持する結果であると同時に、非国有企業では同仮設が成立しないことを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年に始まったCOVID-19禍によって、中国における現地調査が全くおこなえなかったことによる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き計画された計量分析を続けるとともに、中国における現地調査の可能性を探っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年より始まった世界的なCOVID-19禍により、中国おける現地調査がおこなえなかったため。現地調査に赴かずともおこなえる文献の精査・計量分析を精力的におこなうとともに、中国での現地調査の可能性を探る。
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