研究課題/領域番号 |
20K01666
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
蔡 大鵬 南山大学, 経済学部, 教授 (20402381)
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研究分担者 |
太田代 幸雄 南山大学, 経済学部, 教授 (30313969)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 自由貿易体制 / 報復関税合戦 / 国際的協調枠組み / 国際交渉 / 有権者の政治参加 / アイデンティティ経済学 / 貿易政策 / WTO |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、国際交渉における政府間の戦略的相互作用に焦点を与えながら、「報復関税合戦が繰り広げられるのはなぜか」について理論的に解明すると共に、WTOを中心とした自由貿易体制の維持に必要不可欠な国際的協調枠組みの在り方を提示することである。 これまで、Grossman and Helpman (2019)をベースに、自らが属する社会的カテゴリーの行動規範に基づいて、有権者が選挙にて投票を行う場合、自由貿易に対する一国のスタンス(一国主義を重視するか、それとも国際協調を重視するか)がいかに形成されるかといった問題意識に基づき、本研究の基礎となるモデルを構築・分析した。令和3年度では、理論モデルの拡張を検討すると共に、デール解析による実証研究の準備作業も行った。 一方、米中間に繰り広げられている貿易戦争の一因ともなった中国政府による研究開発補助金および強制的な技術移転の関連政策に関して、交渉ゲームの分析手法を取り入れながら、「それらが採用されるのはなぜか」について解明すると共に、多国籍企業や投資国の社会厚生等へのインパクトについても分析した。関連研究成果を論文「Strategic Potential of R&D-intensive FDI Subsidy: Host Government's Endogenous Policy Choice」(with Yingzi Long)にまとめており、現在投稿中である。また、これまでの中国の産業・貿易政策の実態、決定プロセス、およびそれらの問題点についてレビューしたと共に、産業・貿易政策と政府の関係のあり方を考察した。関連研究成果を論文「産業政策再弁:試論経済学理論的「脈絡性転換」現象(産業政策再考:経済学理論における「脈絡転換」現象について)」にまとめ、公刊することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度では、計画の通り、貿易政策の政治経済分析に関する最新の文献を検討した。また、Grossman and Helpman (2019)をベースに、自らが属する社会的カテゴリーの行動規範に基づいて、有権者が選挙にて投票を行う場合、自由貿易に対する一国のスタンス(一国主義を重視するか、それとも国際協調を重視するか)がいかに形成されるかという問題意識に基づき、本研究の基礎となる理論モデルの拡張を検討したが、分析結果が煩雑になってしまい、その解析は困難を極めている。現在、理論モデルの再構築およびデータ解析による実証研究への可能性について検討している。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度では、本研究に関連する分野で優れた業績をあげている研究者との意見交換を通じて、研究の方向性・発展性について多面的に検討する予定である。また、有能な研究協力者を見つけられず、計画が完成できない場合の対応として、今までの協力ネットワークをさらに広げる予定である。一方、研究が当初の計画どおりに進まない場合には、いずれかのテーマに集中して取り組むとともに、問題設定の再検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、当初予定していた海外出張と海外の共同研究者の招へいや国際シンポジウムの開催が延期となっていたため、次年度使用額が生じた。令和4年度では、計算用ソフトと計量分析用のソフトの更新や最新文献の購入を予定しているほか、新型コロナウイルスの感染状況を見極めつつ、海外研究者との研究打ち合わせの実施を模索する予定である。
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