研究課題/領域番号 |
20K01704
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
本田 衞子 一橋大学, 経済研究所, 非常勤研究員 (00812364)
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研究分担者 |
臼井 恵美子 一橋大学, 経済研究所, 教授 (50467263)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 医師 / 病院従事 / キャリア経路 / 選択する診療科 / 医師届出票の届出率 / 女性医師 |
研究実績の概要 |
令和4年度には、主に以下の研究活動を行った。 【病院に従事する医師】医師届出票(主に従事している施設や業務の種別等について医師の調査を行うための調査票に相当する。)から作成したパネルデータを用いて、医師による病院離脱の傾向が高まっているのかを検証した。男女別かつ医籍登録年コーホート別に医籍登録時から一定期間継続して病院に従事する医師の比率を算出したところ、性別を問わず後年のコーホートほど継続して病院に従事する者の比率が高くなる傾向があることが明らかになった。同一のコーホートの医師では、継続して病院に従事する男性の比率が女性よりも有意に高く、男性よりも女性が早い段階で病院から離脱していることがわかった。但し、男女計の医師全体でみても継続して病院に従事する比率は上昇傾向にあり、女性医師の増加によって医師の病院離脱が早まるという現象は生じていないことを確認した。 【医師届出票の届出率】医師届出票の届出率(提出率に相当)の経年変化を分析するためには、届出率算出に際しての分母となる残存医師数を調査年ごとに算出する必要がある。この算出のためには、医籍登録年ごとの医籍登録者数を男女別かつ生年別に把握する必要があるが、各年の医籍登録者数は公表されていない。このため、医籍登録年からの経過年数別にパネルデータを作成し、パネルデータの件数を医籍登録年コーホート別の医籍登録者数の推計値として利用できるのではないかという視点で検討を行った。調査年ごとの残存医師数は、毎年公表されている簡易生命表の死亡率を用いて医籍登録年から調査年までの死亡数を算出、ついで生存数を算出する方法について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
長期間の診療科ごとの分析を行う過程で、細部に拘ったことから想定外の時間を費やした。病院に従事する医師全体の長期間の分析を行うことを優先し、診療科別の分析を一旦は休止した。
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今後の研究の推進方策 |
医師のキャリア形成についての計数分析を継続して行う。 【診療科別の分析】令和4年度に一旦は中止した診療科別の分析を再開したい。診療科の性質を踏まえて診療科の集約を行う、分析期間を狭くする等してデータ量を減らし研究を継続することが必要と考える。研究結果を何らかの行政課題に役立たせるためには、どのような集約や研究期間選択が適切であるかを踏まえて検討した上で研究活動を行う。 【医師届出票の届出率】令和4年度の検討結果を踏まえて、医師届出票の届出率算出に必要な調査年ごとの残存医師数を推計し、男女別かつ医籍登録年コーホート別の届出率算出を行ない、届出率の推移について分析する。 【女性医師のキャリア選択】令和4年8月に医療関係団体から招待され講演を行ったところであるが、この時の医療現場関係者とのディスカッションを踏まえ、女性医師のキャリア選択と医療現場の課題という研究課題を深化させ、研究活動を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
【令和4年度】当初の研究最終年度であったが、研究最終年度に行う予定であった海外の学会への参加が実現していない。研究補助要員の採用は行っているが、当初予定の半分の作業量の依頼となったため費用額も圧縮された。 【令和5年度】研究期間延長が承認され、令和5年度が研究最終年度となった。海外の学会への参加を行ないたいと考えている。また、研究補助要員の採用も行ないたい。昨年度までの費用額を繰り越し、旅費や人件費に充当する予定である。
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