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2022 年度 実施状況報告書

世界的な民間債務の拡大に潜むリスクと新興国のマクロ経済政策

研究課題

研究課題/領域番号 20K01744
研究機関神戸大学

研究代表者

北野 重人  神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (00362260)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード新興国 / 資本規制 / 中国 / グローバル金融
研究実績の概要

本研究は、世界経済の大きなリスク要因として近年関心の高まっている、いわゆる過剰債務の問題に関するリスクを中心として、それに対応するマクロ政策について主に分析を行うものである。特に、新興国に内在するリスクとそれに対応するマクロ経済政策の効果について、包括的に検討することを課題としている。

新興国のマクロ政策として、グローバル化した世界経済の下では、金融政策等の既存の政策だけでは十分な対応が行えないという認識が、特に世界金融危機後、IMFを含めて国際機関、政策担当者、大学の研究者の間で、一般的になっている。こうした背景から新しい可能性を持つ政策の一つとして資本規制政策が注目され、様々な角度からの分析が進んでいるところである。

本年度の研究実績として、このように注目される資本規制政策について、特に中国についての実証分析を挙げることができる。local projection の手法を用いて、中国における国際資本移動に対する資本規制の効果について分析を行った。中国の株式取引における、中国居住者、並びに非居住者の売買に対する規制の効果について、それぞれのインパルス反応を求めて分析したところ、そのいずれについても、資本規制政策が資本移動に対して効果を及ぼしていたことを示す結果を得ることができた。一方、債券といった他の資産市場については、そういった効果は観察されなかった。本研究は、中国における資本規制政策が、資産市場別に異なる効果を持つ可能性があることを示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究成果を国際学術雑誌に公刊することができたため、概ね順調に進展していると判断している。

今後の研究の推進方策

世界的なパンデミックは、各国の信用緩和政策と相まって、新興国における民間部門の債務をさらに増加させ、内在するリスクを拡大させた。また、米国の金融正常化によって、債務国の利払い負担が増加したことにより、さらに新興国におけるリスクは拡大している。加えて、世界的なインフレの影響は、新興国にも大きな影響を及ぼしており、こういった様々な要因を考慮して、過剰債務に関するリスクと、それに対応するマクロ政策について分析を進めていく必要がある。

次年度使用額が生じた理由

本年度はコロナの影響で開催されなかった学会や研究会があっため、旅費等に余りが生じたが、次年度有効に使用する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件) 備考 (4件)

  • [雑誌論文] Effects of China’s capital controls on individual asset categories2022

    • 著者名/発表者名
      Kitano Shigeto、Zhou Yang
    • 雑誌名

      Finance Research Letters

      巻: 49 ページ: 1-6

    • DOI

      10.1016/j.frl.2022.103032

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Financial market incompleteness and international cooperation on capital controls2022

    • 著者名/発表者名
      Kitano Shigeto、Takaku Kenya
    • 雑誌名

      International Journal of Economic Theory

      巻: 18 ページ: 624-642

    • DOI

      10.1111/ijet.12331

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Effects of China's Capital Controls on Individual Asset Categories2022

    • 著者名/発表者名
      北野重人
    • 学会等名
      日本金融学会2022年度春季全国大会
  • [図書] Global Financial Flows in the Pre- and Post-global Crisis Periods2022

    • 著者名/発表者名
      Yoichi Matsubayashi, Shigeto Kitano (Editors)
    • 総ページ数
      224
    • 出版者
      Springer
    • ISBN
      978-981-19-3612-8
  • [備考] 神戸大学経済経営研究所

    • URL

      https://www.rieb.kobe-u.ac.jp/faculty/global_finance/s_kitano.html

  • [備考] 神戸大学経済経営研究所個人HP

    • URL

      https://www.rieb.kobe-u.ac.jp/users/kitano/index.html

  • [備考] Repec 著者ページ

    • URL

      https://ideas.repec.org/f/pki233.html

  • [備考] ORCID 著者ページ

    • URL

      https://orcid.org/0000-0003-0934-2691

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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