(最終年度2023年度に実施した研究の成果)企業のESG経営への取り組み姿勢は、株式市場からどのように評価を受けるのかについて明らかにするために、本年度の研究ではESG経営の方向性として「取締役会におけるジェンダーダイバーシティ」に着目し、とりわけその指標としてわが国の女性役員比率に着目した。具体的には、最初にわが国全般において役員のジェンダーダイバーシティが進展した時期を推定した上で、その時期における上場企業の女性役員比率と市場パフォーマンスとの関係について検証を行った。これに関する研究成果については「ESG経営と市場評価 -役員のジェンダーダイバーシティを例として-」という論文として成果を公刊した。 (研究期間全体を通じて実施した研究の成果)本研究課題の核心をなす学術的な問いとして真に持続可能な社会を実現するESG経営は何かを探求するものであり、それぞれの年度において注目度の高いテーマを取り上げながら評価フレームワークを追及してきた。2020年度には、持続可能な社会と企業経営をAI活用の視点から考察を行った。特に、社会のサステナビリティを維持するために、経営者とステイクホルダーの間で長期的なストーリー共有が必要であり、企業のESGへの取り組み姿勢を反映した株価の活用を示唆した。2021年度には、気候関連財務情報開示タスクフォースへの取り組みが株式市場に及ぼす影響について考察を行った。そして、TCFD最終提言に沿った情報開示への積極的な取り組みと市場リスク低減効果との関連性を検証した。2022年度には、中小製造業におけるDXと持続可能経営について考察した。Society 5.0提唱が中小製造業の労働生産性を向上させた可能性を因果推論の手法によって示唆した。そして最終年度2023年度には上述のように、上場企業の女性役員比率と市場パフォーマンスとの関係について検証を行った。 、
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