本研究では、以下に示すような研究成果を得ることができた。1点目は、使用文脈情報のフローがサービスの市場適合化を高めると同時に消費行動自体をも変容させるという再帰的なプロセスに着目すべきであるという点である。2点目は、そうした再帰的なプロセスにおいて、消費者はプライバシーリスクの重要性を感じつつも、そこまで気が回らない中での意思決定を強いられているという現状が明らかとなった点である。3点目は、高度化するマーケティング・リサーチがもたらす便益と引き起こすリスクのバランスをとるために、企業と消費者の間の今まで以上に長期的で社会的な関係性をベースとする分析枠組みを構築していく必要があるという点である。
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