研究課題/領域番号 |
20K02011
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大石 桂一 九州大学, 経済学研究院, 教授 (10284605)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 公会計 / 発生主義 / 基準設定 / アウトソース |
研究実績の概要 |
当年度はおもに、本研究で掲げた第2の課題、すなわち日本において発生主義ベースの公会計情報が地方債市場で活用されているのか否かを確認するという課題に取り組んだ。日本では総務省の主導により、地方公会計の統一的基準が策定され、2017 年度決算から適用が開始されている。このように公会計基準が比較的最近において統一された日本は、国際的に見て貴重なサンプルであり、国際比較研究の対象とするにふさわしい。そこで当年度は、この統一的基準によって作成された公会計財務諸表に含まれる発生主義情報が、地方債のスプレッドを説明する増分情報価値を有しているのか否かを確かめるための予備作業を行った。 具体的には、まず、公募債のみならず非公募債の価格情報も収録したデータベース(JS-PRICE)と契約し、対国債および対東京都債とのスプレッドを計測した。そのうえで、現金主義ベースの既存指標を所与としてもなお、発生主義情報が当該スプレッドを説明できるかどうかの検証を続けている。現時点ではまだ明確な結果は得られておらず、成果を公表するに至っていないが、発生主義情報の中でも退職給付にかかる情報が増分情報価値をもっている可能性が強く予想される。今後は、さらなる検証を進めるとともに、地方債市場以外での公会計情報の活用についても調査・研究を進める予定である。 本研究で掲げた第1の課題、すなわち公会計基準設定のアウトソースに関しては、英国を対象に、地方公会計に関する長い伝統を有する勅許公共財務会計協会(Chartered Institute of Public Finance and Accountancy: CIPFA)について、基準設定を事実上アウトソースされるに至った経緯を文献をもとに調査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染拡大のため、予定していた海外でのインタビュー調査はまったく実施できていない。また、国内の自治体に対するヒアリングもほとんど実施できなかったため、当年度はデータベースと文献を利用した研究に専念した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も出張を伴う調査・研究ができるかどうかは不確実であるため、文献およびデータを用いた研究に重点的に取り組む。その後、新型コロナウィルス感染の状況をみながら、出張が可能かどうかを判断する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大により、予定していた出張ができなかったため。出張が可能な状況になれば実施し、不可能であれば書籍やデータを購入することで研究を遂行する。
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