本研究では、民族・文化的マイノリティへの排外主義を抑制するうえでの、多文化共生/多文化主義の公式理念や施策のもつ有効性と限界を明らかにし、日豪比較を通じて多文化共生/多文化主義と排外主義の関係性を分析する新たな理論的視座を提起することを目的とした。研究期間中の大半がコロナ禍と重なったため現地調査が難しく、テキスト資料の分析と理論的考察に重点を切り替えた。それでも、20~23年度のあいだに英語の編著1点と邦訳2点を含む、計30点近くの業績を発表することができた。そしてそれらをもとに執筆を進めた単著を24年度中に刊行できる見通しである。それゆえ、研究の目的はおおむね達成することができた。
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