介護の社会化を謳った介護保険制度開始から23年たつが、本来の目的であった公平で普遍的サービスの供給が困難な状況となっている。本研究からは、現金給付による代理受領の仕組み(出来高払い)、サービスの短時間化、介護報酬の加算などの国家の管理・コントロールが、効率的な資源配分を阻害し事業の継続を困難にしていることが明らかになった。特に新型コロナ・ウイルス感染拡大による利用控えや、サービス提供による感染リスクなど訪問介護事業所が置かれている脆弱性が露わになった。本研究は実証研究を通してサービス提供を維持するケア資源の配分のあり方について考察し社会的提言に繋げるという点で大きな学術的・社会的意義を有する。
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