女性活躍が推進される中で女性の就業は確実に増えているが、このことが直ちに女性の働きやすさを意味するわけではない。SSM調査の職歴データからは、結婚・出産時の女性の就業継続の困難さが示された。就業中断はその後の昇進および賃金格差に直結するため、労働市場におけるジェンダー格差を縮小するためには、改めて女性のキャリア形成を支援する職場や家庭の変革の必要性が示唆された。一方で、要因配置実験を用いた分析では、男性の方が女性よりも賃金における年功(年齢)の効果を高く見積もることが示された。日本的雇用慣行とも整合的なこの結果から、女性に不利な処遇体系が維持されやすい(変化しにくい)ことが示唆された。
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