研究実績の概要 |
本研究では、調査1:単身高齢者の住宅のテニュアとアフォーダビリティに関する実態把握調査、調査2:不動産仲介業者による居住支援の実態把握調査、調査3:相談援助職による居住支援に関するロジックモデルの整理、調査4:市町村居住支援協議会による相談窓口体制に関する調査の4つを予定している。 調査1については住宅・土地統計調査(総務省)のオーダーメイド集計を依頼し、データを入手し、分析に着手できた。単身高齢者の住宅テニュア(持家、民間賃貸、公営借家、UR・公社住宅)を男女別、エリア別、トレンド別に把握、世帯年収×住宅テニュアの傾向、民営借家の家賃、住宅扶助額以下物件居住割合をみたうえで、単身高齢世帯が住む民間賃貸住宅の居住性能(最低居住面積、建築年、高齢者対応設備)ならびに子世帯との距離について分析を行った。その一端を述べると、首都圏に暮らす単身高齢世帯の平均家賃は70,836円で、年収100~200万円未満世帯でも平均家賃は64,226円、年間で約77万円と収入の半分近くを家賃に費やしていることが分かった。特別区の住宅扶助額は53,700円であり、住宅扶助額以下の物件に居住する者は25.8%、年収100~200万円未満世帯では32.8%と1/3に達する。低家賃物件ほど最低居住面積以下の物件が多いこと、旧耐震の物件が多いこと、バリアフリー対応が遅れているなど複合的に居住が不安定であることがデータから示された。結果の一部は2021年2月に専門誌、2022年4月発刊の専門誌にて報告した。 調査3については2020年度に整理を行い、終了済みである。2021年度はこのロジックモデルの考えを深めて報告書を執筆した。 調査2と調査4については複数の当該団体にZoomにてヒアリングを行い、研究計画の変更が必要と考えるに至った。
|