研究課題/領域番号 |
20K02212
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
西梅 幸治 高知県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (00433392)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 社会福祉関連 / ソーシャルワーク / ジェネラル・ソーシャルワーク / 支援ツール |
研究実績の概要 |
令和4年度の研究実績については、まず先行研究の整理・検討を継続して実施した。具体的には、①地域共生社会に向けた制度・政策的動向、②制度・政策的動向に呼応するソーシャルワークの役割と機能、③理論としてのジェネラル・ソーシャルワークの重要性、④ジェネラル・ソーシャルワークの意義と展開課題などに関して、分析・考察を行った。 特に研究目的に即して、ジェネラル・ソーシャルワークの実践展開においては、ソーシャルワーク三大特性としての生活・支援・過程の側面から、エコシステム視座、エンパワメント、ミクロからマクロへのフィードバックを伴う循環過程が重要となることを指摘した。それに加えて、ジェネラル・ソーシャルワークにおける今後の展開課題について、①構成的エコシステム視座、②ソーシャルワーカーの自省、③フィードバック・フィードフォワードによる過程展開に関して、その理論的な確立の必要性を指摘した。 支援ツールの開発については、支援ツールの基礎開発を行っているエコシステム研究会への継続的な参加により進めることができた。研究会への参加により、1.クラウド化に関する知識の集積、2.現行支援ツールの改善点の整備、3.暫定版活用マニュアルの提示、4.本テーマに応用するための開発などについて実施した。特に開発については、昨年度に整理した質問回答とその計算方法に関する機能追加の計画に従い、本テーマに関連するアセスメント構造に基づく機能の計算方法に関して導入を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ソーシャルワーク方法論確立に向けて、わが国における制度・政策的動向を見据えながら、海外のソーシャルワークやエンパワメント、アセスメントに関する先行研究を含めて継続的に進めているため、時間がかかってしまっている。調査については、新型コロナ感染症流行に伴い、計画的な実施が困難であった。今後は、制限緩和に伴い、調査デザインや研究方法を改善しながら実施に向けた再計画を検討している。また支援ツール開発については、研究テーマに則して現行支援ツールに応用するための機能を追加することができ、今後の検証に向けた実施計画を作成している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策については、引き続き文献をとおしてジェネラル・ソーシャルワークを中心に理論的側面からの研究を進める。特に継続して、利用者とソーシャルワーカーの協働を通じて展開するエンパワメント実践過程ならびに、その過程の中核となる協働アセスメント局面について検討する。利用者とソーシャルワーカーの協働をふまえたアセスメント局面での特徴や展開する技術・技法に関して理論的な整理を行う。そのうえで開発している支援ツールについて、協働アセスメントを展開する際の活用の意義や効果的な活用方法などを検討する。 加えて支援ツールの開発については、支援ツールに導入するエンパワメント実践に関わる情報項目に関して、これまでの仮モデルの情報項目などを活用しながら、インタビュー調査により項目を精緻化し、現場での試用を通じて検証を重ねる。そのプロセスを通じて、理論的な側面を基礎に、利用者とソーシャルワーカーによる協働アセスメント局面における支援ツールとその活用方法に関する有効性と課題を抽出していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)令和4年度については、前年度と同様に新型コロナ感染症流行に伴い、まず旅費に関して研究会・学会参加などの計上分について、オンライン実施に移行したことにより、計画的な執行ができなかった。同様の理由によって、調査活動も制限されたことにより、それに関連する人件費や謝金などの支出も抑えられた。そのため、調査計画を改めて見直しながら、翌年度に繰り越すことにした。
(使用計画)研究計画で計上した内容を基礎に、適宜、修正しながら、目的に応じて使用を進めていきたいと考えている。これまで旅費で使用できていない予算などについては、支援ツールを改善していくための費用を再計上して運用していきたいと考えている。
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