研究課題/領域番号 |
20K02276
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
新藤 こずえ 上智大学, 総合人間科学部, 准教授 (90433391)
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研究分担者 |
岩田 美香 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (30305924)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 社会的養護 / 知的障害 / 発達障害 / 児童養護施設 / 自立援助ホーム |
研究実績の概要 |
本研究は、親・家族によるサポートがない障害のある子ども・若者の実態を明らかにし、ライフコース全体を通した支援のあり方を福祉・教育・司法の視点から検討する。具体的には(1)児童養護施設等の社会的養護施設における障害のある子どものケアの実態、(2)特別支援教育、障害福祉サービスとの連携、未成年後見制度活用の現状をふまえ、(3)社会的養護(児童福祉)から成人の障害福祉サービス(障害者福祉)への接続・移行システムを構想することを目的としている。 2020年度は、調査1として、児童福祉施設全国調査の再分析および障害児に関するデータの析出を行い、調査2として、社会的養護における障害のある子どもの支援に関する調査を実施する予定であった。 調査2は、新型コロナの影響で調査実施計画の変更を余儀なくされたが、当初から予定していた調査1としては、申請者がこれまで実施してきた児童福祉施設等インタビュー調査、児童自立支援施設全国調査(2015年、2016年)、自立援助ホーム全国調査(2018年)、児童養護施設全国調査(2019年)を対象とした再分析を行い、障害のある子どもや若者に関するデータを析出し、障害のある子どもに固有の困難の実態やそれに対する施設、職員の支援の概要をまとめる作業を行った。その結果、支援を必要とする知的障害・発達障害・メンタルヘルスの課題を抱える子どもが少なくなく、児童養護施設においては、子どもの障害受容や保護者支援に困難がみられた。とりわけ高校進学の際の進路選択では、療育手帳の取得および特別支援学校への進学支援が行われていた。また、自立援助ホームにおいては、メンタルヘルスの課題を抱える子どもの支援が課題となっており、支援者からみて、支援を必要とするレベルの障害があっても、障害者手帳の所持率は高いとは言えず、制度的なサポートが受けられていない可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの影響で調査実施が困難になったため。
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今後の研究の推進方策 |
これまで行ってきた調査の再分析の結果をふまえ、障害のある子どもに対する移行支援に実績のある児童養護施設、児童自立支援施設に対してインタビュー調査を実施し、障害のある子どもに対する自立支援(インケア、リービングケア、アフターケア)の現状、特別支援学校(学級)との連携、障害福祉サービスへの接続・移行支援、社会的養護自立支援事業、未成年後見制度活用の実態を把握する。直接、施設等を訪問しての調査のみならず、調査協力先の了解が得られた場合は、オンラインでのインタビュー調査実施の可能性も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査が再分析にとどまったため、パソコン等の新たな物品購入が必要ではなかったことと、予定していたインタビュー調査が実施できなかったため、計上していた物品費・旅費等を支出できなかった。次年度は、コロナの状況に鑑みながら、調査先の状況に合わせて、対面・非対面(オンライン)を柔軟に組み合わせて調査を実施する。対面調査の場合は旅費が必要になる。また、データ分析のためのパソコン、テープ起こしのための謝金等が必要になる。
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