研究課題/領域番号 |
20K02305
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研究機関 | 日本社会事業大学 |
研究代表者 |
小原 眞知子 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (50330791)
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研究分担者 |
佐藤 幹代 自治医科大学, 看護学部, 准教授 (00328163)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 慢性疼痛患者 / リテラシー / プログラム評価 / ソーシャルワーク / 社会生活機能 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、慢性疼痛を抱える患者自身が生活課題に対応できる情報、スキル、そして自信を持ち、自らの痛みとそれに関連した生活課題に対応できるライフリテラシーを用いたソーシャルワークのプログラム開発を行うことである。2020年度は、慢性疼痛から派生する患者の心理・社会的課題と対処能力、患者の行動特性とリテラシーを探索する。また、モデルを提示するためのプログラムニーズを確定、および、慢性疼痛患者に対するニーズと自らの対処方法を明らかにすることを目標とした。 調査方法は、NPO法人「健康と病の語りDIPEx-Japan(以後、DIPEx-J)」の「慢性疼痛患者と家族の語り」のデータ、及び2019年度に実施した調査のデータの2次利用を行い患者の語りの分析を行った。 調査分析にはMAX-QDAを用いて、質的データ分析を行った。分析の視点は、就労にフォーカスし、患者本人や家族が体験している心理的・精神的・社会的に抱えている課題を明らかにすることとした。 その結果、疼痛に対しての対処方法や工夫、治療過程における医療者‐患者・家族との関係構築、自らの認識の変化に対する取り組み、職場での対人関係構築、業務内容への対応と工夫、役割獲得、経済的課題とその工夫、社会的関わりなど、すなわちソーシャルワークに関わる「社会生活機能」に関連した課題とそれに対する患者のコーピング、及び課題取組みが明らかになった。それらをもとに、慢性疼痛患者の行動特性とリテラシーを用いて暫定的インパクト理論案の作成を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は研究テーマである慢性疼痛、リテラシーなどのキー概念の文献整理を実施した。さらに、慢性疼痛から派生する患者の心理・社会的課題と対処能力、患者の行動特性とリテラシーを探索することに努めた。 仮説モデルを提示するために、個別インタビューよる半構造化面接を実施する予定であった。しかしながら、コロナ禍で対面でのインタビューが不可能であったことから、既存のデータの2次利用を行い分析を実施した。コロナ禍で、研究計画の修正はあったものの、これに関しては、2021年度に追加調査を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の目標は本研究のロジックモデルを策定することにある。さらにインパクト理論案の妥当性の検討を行う。そのために、慢性疼痛患者の提供されるべき知識、情報、サポートなどの支援の実態を把握するために量的調査を2つ実施する。 1つ目の調査は、医療ソーシャルワーカーに対して慢性疼痛患者に提供すべき知識、情報、サポートなどの支援の実際を把握するために量的調査をする。医療ソーシャルワーカーに対しての調査方法は、先行研究と2020年度の結果分析をもとに質問用紙を作成し、郵送法によるアンケート調査(無記名自記式質問紙調査)を行う。 2つ目の調査は、慢性疼痛患者に対して、知識、情報、活用しているサポートの状況を把握するための量的調査をweb上で行う予定である。それぞれの調査に関しては、研究倫理委員会に提出予定である。 結果の活用は、適当な統計的手法を用いて、探索的分析を行い、プロセス評価とアウトカム評価項目、インパクト理論の妥当性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で、対面によるインタビュー調査、ならびに学会参加もWebによるものであったことから、旅費を使用することができなかった。2021年度に対面によるインタビュー調査を実施することや、学会参加を行う予定である。
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