研究課題/領域番号 |
20K02305
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研究機関 | 日本社会事業大学 |
研究代表者 |
小原 眞知子 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (50330791)
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研究分担者 |
佐藤 幹代 自治医科大学, 看護学部, 准教授 (00328163)
廣瀬 圭子 ルーテル学院大学, 総合人間学部, 准教授 (90573155)
原田 和宏 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (80449892)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 慢性疼痛 / ソーシャルワーク / ライフリテラシ― |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、慢性疼痛を抱える患者自身が生活課題に対応できる情報、スキル、そして自信を持ち、自らの痛みとそれに関連した生活課題に対応できるライフリテラシーを用いたソーシャルワークのプログラム開発を行うことである。2022年度は、当事者主体のソーシャルワークの役割と機能の明確化、当事者主体の支援方法として障害モデルの提示、さらに身体的活動能力に関連した集学的治療のあり方を模索した。 慢性疼痛の患者の生活は、想像していた生活とのギャップから不安や落胆が顕在化する時期もあり、変化する身体的痛み、心理的状況に対して、MSWや看護師、理学療法士などがチーム支援を実施することで患者自身が自分らしい生活へと適応できる可能性が示唆された。また、慢性の痛みを抱える患者だけではなく、ライフステージによっては(特に高齢期)家族も支援の対象者として加える必要性が明らかになった。ソーシャルワークの領域からは、MSWは患者の生きがいや経済的不安を払拭するに充分な両立支援など、制度を活用した福祉サービスの活用を促すことで、患者自身が自らのQOLの向上につながる行動がとれ、ヘルスリテラシーに寄与できることが示唆された。 分担研究者がそれぞれの領域から当事者主体の研究、ならびに専門職としての支援や治療の検討をした。看護学からは当事者の語りから「障害の社会モデル」を検討した。理学療法学からは、慢性疼痛患者を対象とした集学的治療における活動能力に関する知見を提示できた。また、社会福祉学からは患者の生活の質の向上を検討する地域モデルを検討した。それぞれ、学会発表や論文として公表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は質問用紙を完成させ、医療ソーシャルワーカーや専門職への無作為調査。ならびに協力できる患者200名を対象対象者としてアンケート調査を行う予定であった。インパクト理論の検証と、医療ソーシャルワーカーの支援内容を分析でき、ロジックモデルを作成し、プログラムを策定することを目指すことであったが、コロナ禍で対応が遅れてしまい、各領域からの専門的検討を行い、多領域からのモデル構築に貢献し、そこから本研究への対応を検討した。
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今後の研究の推進方策 |
①本研究のロジックモデルを策定する。 ②インパクト理論の妥当性の検討を行う。 →①、②の研究方法として、慢性疼痛患者の提供されるべき知識、情報、サポートなどの支援の実態を把握するために量的調査を行う。 →医療ソーシャルワーカー、看護、理学療法士に対して慢性疼痛患者に提供すべき知識、情報、サポートなどの支援の実際を把握するために量的調査をする。
慢性疼痛患者の自らの痛みとそれに関連した生活全般のマネジメントが行えるための「ライフリテラシー」のモデルの精緻化をする。そのために、エンパワメント評価手法を応用したGroup Interviewを実施し、インパクト理論とロジックモデルの検証、ならびにプロセス評価とアウトカム評価の妥当性の検証を行い、実質的効果を高める。また、普及のための配布物を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
パソコン購入のため使用額が物品で大きくなった。
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