研究実績の概要 |
麻痺性貝毒(PSP)で毒化した二枚貝に各種野菜ペーストを添加したところ、毒量が減少するものと増加するものの存在が明らかとなった。昨年度は、減毒が認められた野菜に共通する食材成分として硫化物やポリフェノールなどが挙げられたため、毒化二枚貝にこれらの成分を添加した結果、毒量の減少が認められた。そこで、本年度は減毒効果を示す野菜について、毒の減少に影響を与える野菜の成分を確認することを目的とした。まず、特定野菜を添加するときの反応温度と野菜の産地の違いによる影響について検討した。加熱温度は20,40,60,80,100℃の5段階とし、野菜の産地2種を条件として試料を調製し、PSP分析を行った。 加熱温度では、産地の違いに関係せずにいずれも100℃の加熱で毒量が減少し、他の温度との間で有意差が認められた。毒組成では、C1,C2が減少し、GTX2,3の割合が増加した。産地の検討では、特産地として知られる産地と他の産地との比較において、特産地の方が毒量の減少率が大きい傾向を示した。これら2種の特徴として糖度が異なることが知られていることから、毒化二枚貝に各種糖溶液を添加して試料を調製し、HPLC分析に供した。その結果、グルコースとスクロースを添加した試料で毒量が減少し、ブランクに対して有意な差を示した。以上より、野菜に含有される成分の還元力が減毒に影響する要因の一つである可能性が示唆された。
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