研究課題/領域番号 |
20K02434
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
内山 千鶴子 目白大学, 保健医療学部, 教授 (70433670)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 臨床実習 / 言語聴覚士学校養成所指定規則 / 言語聴覚士養成教育 / 教育方法 |
研究実績の概要 |
2023年度の研究は、2021年~2022年に行った臨床実習教育に関するアンケートのまとめを発表することと、オーストラリア、ニュージーランドにおける言語聴覚士養成教育の現状を視察することだった。 アンケートのまとめは2023年に言語聴覚学会で「言語聴覚士臨床実習教育に関する課題-臨床実習施設のアンケート結果から-」として、共同研究者の西武学園の飯塚菜央氏らと協働で言語聴覚士養成校教員の意見と臨床実習施設の言語聴覚士の意見を総合して発表した。養成校教員と臨床実習指導者と教育の到達点や評価法に関して若干の相違があり、今後修正していく必要があると考察した。さらにニュージーランドで行われた国際音声言語医学会(IALP:International Association of Logopedics and Phoniatrics)で「Clinical Practicum Education in the Academic Programs for Speech-Language-Hearing Therapists in Japan」として本邦における養成教育の現状を課題を国際医療福祉大学の倉智雅子氏と分析した結果を発表した。日本における臨床実習教育は養成校での臨床実習施設が非常に少なく、学外の臨床実習指導者に依存した方法であることが大きな問題点であることを提起した。 さらに、オーストラリアとニュージーランドにおける言語聴覚士の養成大学を訪問し視察した。その結果、日本おける臨床実習施設のさらなる充実が必要であることを実感した。2025年度から養成教育に影響する厚生労働省が指定する「言語聴覚士学校養成所指定規則」が改定される見込みであるが、その内容を活かせるように今回の視察訪問の成果を報告していく予定で合う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究の進行が遅くなった大きな理由は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大のためである。研究内容は海外視察により諸国の言語聴覚士養成教育の現状を知り、日本の養成教育で活かせる方法を探索することだった。そのため、研究の予定では研究1年目に北米の言語聴覚士養成教育の現状を知るため、アメリカ・カナダを就寝に北米を訪問視察する予定であったが、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の影響で渡米することができなかった。また、研究2年目に予定していたイギリス、フランスを中心とするヨーロッパの現状視察も同様に行えなかった。海外視察が困難な状況だったので、国内で研究できる内容に切り替えた。具体的には、研究2年目と3年目に国内の臨床実習教育の現状を把握するため、養成校と臨床実習施設にアンケート調査を行った。研究4年目はアンケート結果を分析し日本言語聴覚士協会や学会等で報告した。2023年から新型コロナ感染症が第5類に分類され、海外視察が可能となったので、オセアニア地区の養成大学の訪問視察を実施した。残された研究内容は北米とヨーロッパの訪問視察である。
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今後の研究の推進方策 |
研究5年目の2024年度はヨーロッパの言語聴覚士の養成教育の実態を調査する予定である。言語聴覚士協会の会員であるオランダに在住する言語聴覚士と連絡を取り、訪問の場所、日程を計画している。また、スイス在住で日本の言語聴覚士の資格を持つ言語聴覚士とも連絡を取り、ヨーロッパにおける教育の現状を調べる計画である。 研究最終年となり、アンケート結果と視察結果をまとめ、今後の言語聴覚士養成教育に活かせるよう報告していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は海外の言語聴覚士養成教育の実態調査が大きな目的の一つであったが、新型コロナウイルス感染症の影響で海外視察を実施することが困難となり、研究1年目に関してはほとんど研究費は未使用であった。研究2~3年にかけても新型コロナウイルス感染症の拡大により海外への訪問視察は困難であり、国内研究に研究の方向性を転換させざるを得なかったため、予定より研究費使用が少なかった。研究4年目の2023年になり、新型コロナウイルス感染症が5類に分離され、海外渡航も自由になったため、本来の目的である海外視察を実施した。これらの影響で研究費使用額に関しても残高が予定よりも多くなっている。 次年度(2024年)にヨーロッパの養成教育の現状を訪問視察することに研究費を使用する予定である。
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