研究課題/領域番号 |
20K02446
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研究機関 | 九州女子短期大学 |
研究代表者 |
宮嶋 晴子 九州女子短期大学, 子ども健康学科, 教授 (20598122)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 生活困難を抱える親子 / 学生主体形成 / 乳幼児期からの地域活動参加 / 行動変容 / コロナ禍の生活状況 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年同様、本科研の研究実践として取り組んでいる支援活動がコロナ感染防止の観点から実施出来なかった。 そこで、当初の研究計画に、対象である団地の子どもや保護者を対象に、「コロナ禍の生活について」のアンケートを実施し、研究対象である団地の子どもや保護者の生活についての把握並びに分析を行った。また調査フィールドである団地へ観察調査、また、支援者との研究会などを実施してきた。 これらの調査や研究会の実施や分析結果は、本年度以下のような学会発表や論文で、共著も含み、報告やまとめを行った。 学会発表では、宮嶋晴子「子どもから見たコロナ禍の生活について-公営団地に暮らす子どもたちの事例より-」、日本子ども社会学会第27回大会、2021年6月13~14日にて発表した。学会シンポジウム報告では、「新型コロナ感染症下での生活体験学習への取り組み」宮嶋晴子・小池正博「コロナ禍における団地の子どもの活動―A市B公営団地の事例―」、日本生活体験学習学会佐賀(オンライン)研究大会、2021年9月5日で報告した。 また、実践ノートとして、宮嶋晴子・小池正博「コロナ禍における団地の子どもの活動―A市B公営団地の事例-」、『生活体験学習研究、学会誌第21号』、日本生活体験学習学会、2021年7月を執筆した。 研究結果の総合考察としては、研究対象の子どもや保護者は、コロナ禍に入り、本人の「困り感」から、食事や人間関係、メディア依存や子育ち環境をさらに悪化している状況があることが確認された。また、「困り感」がない対象も一定程度おり、その対象においては、問題がないのではなく、問題や課題の認識が出来ていないだけで、子育ち環境の悪化している可能性を垣間見ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本科研の研究開始2年が経過した現在、計画通りに進んでいない状況はある。理由としては、研究方法の中心が支援実践の研究であるため、その支援実践が実施出来ていない状況などから、研究計画の内容変更を余儀なくされ、その追加の調査を実施してきた経緯があるからである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、コロナ感染対策防止の宣言等は、現在(2022年5月現在)のところ出ていないため、研究実践である支援活動実践再開にむけた三者協議-団地自治会、支援者やボランティアグループ、そして研究者としての私-を行っている。年度初めに、そのめどをつけ、コロナ禍ではあるものの、感染予防対策に努めつつ支援活動実践を再開していく計画である。そこでは、これまで行ってきたように、公営団地の親子が地域活動参加によって、どのような行動変容や意識変容が起こっていくのかをとらえていく観察調査を実施していきたい。 またコロナ禍の生活が2年以上続く現在、1年目に実施した調査のその後の状況把握も行っていく予定である。 一方、研究対象フィールドの団地での実践継続が困難になった場合を想定して、第2候補としてあげている研究フィールドへの実施の検討を行っていく。 また支援実践調査が再開できない期間においては、先行研究や先行事例の調査を行い、レビュー研究や事例研究を新たに行う計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により当初計画していた研究が実施出来ていないこともあり、年度予算を使用していない状況がある。そこで、今年度、予定している調査研究を実施出来なければ、研究機関延長も含めて新規調査先での研究実施などを行う予定である。 またこれまで支援実践を一緒に取り組んできた支援者との研究会を継続して実施し、支援の在り方についての理論的整理を試みる。 また前述したように、コロナ禍で本研究の調査対象としている支援実践が実施再開が困難な期間は、先行研究や実践事例の全国の取り組みを調査する予定もある。
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