研究課題
本研究は,米国の専門職基準の策定,伝達,運用プロセスに着目し,専門職基準の自律的な活用のポイントを明らかにすることを目的とした。全米教職専門職基準委員会(National Board for Professional Teaching. Standards, 以下 NBPTS)や州教職員専門職基準委員会などの全米の動きを把握した上で,ワシントン州の事例に焦点をあて,分析を行なった。調査は,教育政策グループ,社会科グループ,体育科グループの3つのパートに分かれて進めた。まず,NBPTSについては,専門職基準の策定プロセス,教科(社会科・体育)の基準の内容などを分析し,自律的な変革を促す専門職基準のあり方について検討した。その際,二つのポイントに注目した。一つに,専門職基準の自律的な活用のための要素がどのように設定されているかという点である。教員の専門性のコアを示す専門職基準が,誰によって,いかなるプロセスで策定されたのか,その際にどのような点が議論されたのかを分析した。二つに,教科担当教員の専門職基準が,誰によって,どのように策定されたのかという点である。2年目以降は,ワシントン州での調査を実施した。ワシントン州の各教科の教員基準の内実と,文化的能力スタンダードの策定・改訂プロセスを明らかにした。実地調査は,教育行政機関であるPESB,教員養成機関(ワシントン大学タコマ校,シアトル大学)を対象に,インタビュー調査を実施した。調査からは,文化的能力スタンダードが策定された文化的背景や政治的要因,教科の教員基準に対する全米基準の影響の大きさなどが明らかになった。最終年度では,教員養成大学,学校,教員組合を対象に,インタビュー調査を実施した。そこでは,教員の職能開発における実際の場での専門職基準の果たす役割や限界などが明らかになった。
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Educational Studies in Japan: International Yearbook
巻: No.18 ページ: 69-79
『協同出版・教職レポート』
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『学校経営研究』
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清水紀宏・朝倉雅史・坂本拓弥編『探究 保健体育教師の今と未来20講』
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山﨑準二・高野和子・浜田博文編『「省察」を問い直す―教員養成の理論と実践の検討―』
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