研究課題/領域番号 |
20K02607
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
中山 あおい 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00343260)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 教員養成 / 多様性 / 移民 / インクルージョン / ヨーロッパ |
研究実績の概要 |
本研究は、子どもの言語的・文化的多様性を、全ての教員の課題として教員養成や教員研修に組み込んでいるドイツやスイスなどのヨーロッパにおいて、どのような教員養成や研修が実施されているのか、文献調査と海外訪問調査により検証するものである。 初年度に続き、令和3年度は(1)資料・文献の収集整理を行い、移民を含めた子どもの多様性に対応した教育の理論的背景を探るとともに、教員養成に関する関連文献・資料の収集を行った。また、(2)海外調査を実施し、多様な子どもの教育に関して、どのような教員養成や教員研修が行われているのか、各国の中央政府や関連行政機関及び教員養成を実施している大学でのインタビュー調査を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の拡大のため実施できなかった。そのため、初年度に引き続き、インターネット上でドイツのライプチヒ大学教育学部及びスイスのチューリッヒ教育大学のシラバス等を分析した。ライプチヒ大学と同様に、チューリッヒ教育大学においても「多様性」を扱う必修科目がカリキュラムに位置づけられていることが判明した。このようにドイツやスイスの教員養成において「多様性」が重視されている背景には、両国において文部大臣会議(ドイツのKMK, スイスのEDK)等が、子どもの多様性に向き合う教員の資質や能力の向上を重点課題として捉えていることが挙げられる。これらの分析結果は、令和3年10月に実施された日本教師教育学会第31回研究大会(於:筑波大学)において「欧州の多様性に開かれた教員養成―ドイツとスイスに着目して―」 と題して公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度は、子どもの言語的・文化的多様性に対応できる教員にどのような能力や資質が求められ、それを育成するためにはどのような養成プログラムや研修が実施されているのか、またその背後にある理論的な枠組みについて検証するために、海外調査を実施するつもりであったが、昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の拡大のために実施できなかった。そのため、インターネット上に掲載されている情報収取を行ったが、インターネットを介した情報収集だけでは、実際の教員養成の実態を把握するには限りがあるため、今年度実施できなかった海外調査を次年度以降に実施したい。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、新型コロナウイルス感染症の収束状況によるが、海外調査を実施し、カリキュラム分析をしたドイツのライプチヒ大学、スイスのチューリッヒ教育大学及びジュネーブ大学、フィンランドのオーボ・アカデミー大学の訪問調査を行う。その際、①カリキュラムについてのインタビュー調査を実施しするとともに、②子どもの多様性に関連した講義や研修の参与観察を行う。 2022年度はドイツとスイス、2023年度はフィンランドで海外調査を実施し、各国における多様な子どもの教育にかかわるカリキュラムを並置比較することにより共通点や相違点を分析し、それぞれの特質と問題点を明らかにするとともに、本研究で得られた成果を学会等で公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度に引き続き、令和3年度も新型コロナウイルス感染症の拡大で海外調査が不可能となり、ドイツのライプチヒ大学、スイスのチューリッヒ教育大学及びジュネーブ大学、フィンランドのオーボ・アカデミー大学での調査を次年度以降に繰り越した。 次年度は、引き続き文献調査を行うための物品費や収集したデータの翻訳および情報提供者への謝金等に加え、海外調査を行うための海外旅費や研究成果について学会で発表するための国内旅費を使用する予定である。
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