研究課題/領域番号 |
20K02676
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
宮木 秀雄 山口大学, 教育学部, 講師 (30710785)
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研究分担者 |
松岡 勝彦 山口大学, 教育学部, 教授 (70312808)
須藤 邦彦 山口大学, 教育学部, 准教授 (70533694)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 幼児教育 / 集団随伴性 / ポジティブな対人行動 / 国立大学附属幼稚園 / 応用行動分析学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、幼稚園における集団随伴性を用いた介入により、幼児のポジティブな対人行動が生起・増加するとともに、小学校入学後の学校適応が促進されるかについて検証することであった。 1年目である令和2年度は、連携先である山口大学教育学部附属幼稚園の教員への聞き取り調査を行い、目指す子どもの姿や園児の実態等についての情報を得た。その結果、5歳児クラスの担任教員より「小学校入学に向けて、自分たちで声を掛け合いながら片付けや準備ができるようになってほしい」とのニーズが示された。そこで、おもちゃの片付け及びお弁当の準備場面において、幼児の片付け・準備、仲間への声かけの生起・増加を目指した集団随伴性による支援を試行的に行った。 まず、片付け・準備の目標タイム(20分)を設定するとともに、視覚的タイマーを教室内に掲示した。そして、目標タイム以内に片付け・準備が完了したらタイマーの下に「はなまる」を1つ掲示し、3つ貯まったら園児全員にシールを渡した(相互依存型集団随伴性による介入)。また、片付け・準備、あるいは、仲間に対して片付け・準備を促すような声かけが見られた場合には、その場で担任教員が言語称賛を行った。なお、園児の行動は研究者による直接行動観察とビデオカメラ2台による定点撮影により記録した。介入の結果、片付け・準備のきっかけ(プロンプト)やメリット(強化子)を増やしたことで従事率が増加するとともに、タイマーをきっかけとして仲間に声をかける人数や回数が大きく増加した。 今後の課題として、タイマーを気にしていない園児や仲間の声かけに反応しない園児の存在も確認されたことから、より分かりやすい行動のきっかけの工夫や園児のやる気を引き出すメリットの工夫が挙げられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目の目的である対象児の実態把握、目標となる行動の定義、介入方法の検討(集団随伴性)、測定方法の検討、実験デザインの検討はいずれも計画通りに実施することができた。また、実際に5歳児クラスを対象として集団随伴性による介入とその効果の検証も試行的に行うことができた。以上の点から、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1年目は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、研究の開始が遅れてしまったが、幼稚園教員との協働関係が構築できたこと、集団随伴性による介入とその効果検証を行えたことから、今後は円滑に研究を開始できると考える。特に、昨年度の成果について、5歳児クラスの担任教員と副園長に詳細な報告を行ったことで、研究の方向性や連携体制についての共通理解を図ることができた。今後も幼稚園教員と密に連絡を取り合いながら研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大により参加予定であった学会等がすべてオンラインによる開催または中止となったため、学会参加に伴う旅費の執行が滞った。令和3年度は、学会等への参加費や発表費、教材・書籍購入費と併せて、必要に応じて学会参加や研修会参加のための旅費として予算を執行していく予定である。
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