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2020 年度 実施状況報告書

ロシア連邦における教科「生活の安全の基礎」の内容・方法に関する法制と実態

研究課題

研究課題/領域番号 20K02794
研究機関岡山大学

研究代表者

高瀬 淳  岡山大学, 教育学研究科, 教授 (00274035)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードロシア / 教育課程 / 教科「生活の安全の基礎」 / 教員養成・研修
研究実績の概要

ロシア連邦の初等・中等教育学校における教科「生活の安全の基礎(ОБЖ)」を取り上げ、児童・生徒の「学力」の形成に資する安全教育の在り方に着目しながら、その目的・内容・方法等の基準について調査を行った。特に、ロシア連邦における教育課程行政の動向を踏まえ、「生活の安全の基礎(ОБЖ)」を教育課程全体で身につけさせたい「学力」の問題として捉えることにより、人々に安全を保証する教育それ自体に加え、日本の学習指導要領でも課題となっているカリキュラム・マネジメントの実現に向けた現代的な諸課題に関する教科横断的な教育内容・方法を深く考察することが可能となる。
ロシア連邦では、科学知識の習得だけでなく、「学習する能力であり、未知の社会的経験を意識的・能動的に獲得することによって自らを成長・向上させる主体としての力量」としての普遍的学習能力の育成が目指されている。本年度は、この点に留意し、国レベルの教育課程の基準として定められている連邦国家教育スタンダードの概要を明らかにし、初等教育(1~4学年)を中心に「生活の安全の基礎(ОБЖ)」にかかる法制(目的や到達点など)を明らかにした。そこでは、児童が自らの安全を守るために必要な知識や技能の伝達に留まらず、主体的に生活の安全を実現するように周囲に働きかけるため、自らの意思を表明していく態度を育むことの重要性を指摘できる。
また、学校における安全をめぐる国際的なスタンダードを確認する観点から、セーフティプロモーション又はセーフティスクールの概念の整理を通じて、国家による安全の保証が、安全に関する個人の権利として保証されるための決定要因について検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度においては、連邦国家教育スタンダードから「生活の安全の基礎(ОБЖ)」にかかる法制(目的や到達点など)を明らかにしながら、モスクワとハバロフスクを訪問して行政担当者や教職員への聞き取りを行い、教育課程行政の実際について調査するとともに、次年度以降の調査対象として適切な学校等を決定することを計画していた。しかし、世界規模での新型コロナウィルス感染拡大によって、ロシア連邦での現地調査ができなくなり、法令等や先行研究による基本的な枠組みの把握に留まっている。また、現地で予定していた「生活の安全の基礎(ОБЖ)」の教科書の収集ができず、その内容や編集の特色の分析に着手に至らなかった。

今後の研究の推進方策

世界規模での新型コロナウィルス感染拡大により、ロシア連邦での現地調査が不可能となっている。このことを踏まえ、当面、先行研究、法令、政策文書等を通じた法制面からの考察を中心として、教科「生活の安全の基礎(ОБЖ)」の目的・内容・方法等について明らかにする。ただし、本研究においては、教科「生活の安全の基礎(ОБЖ)」の教育・指導について、教育行政機関、初等・中等教育学校及び教員養成・研修機関の実態を明らかにすることが不可欠であり、世界規模での新型コロナウィルス感染状況の収束がなされ次第、現地での調査を実施できるように関係諸機関への依頼を継続して進める。なお、担当者レベルでは、モスクワで訪問する学校が内定している。

次年度使用額が生じた理由

世界規模での新型コロナウィルス感染拡大により、予定していた現地調査(モスクワ、ハバロフスク)を行うことができず、そのための旅費等を執行しないという状況が生じた。本研究の推進には、法制と実態の対照しながら考察する観点から、教科「生活の安全の基礎」にかかる教育課程行政、授業、教員養成・研修に関する実態調査が不可欠である。そのため、当初に予定していた旅費等を含めて、次年度以降の現地調査の地域(モスクワ、サンクトペテルブルグ、ウラジオストク、ハバロフスク等)・期間を設定する。

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公開日: 2021-12-27  

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