研究課題/領域番号 |
20K02858
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
伊藤 圭子 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (50184651)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 家庭科授業 / インクルーシブ教育 / 実践的指導力 / 現職教師教育 |
研究実績の概要 |
特別な配慮を要する子どもが在籍する通常学級においてピア・チュータリングを適用した小学校の家庭科授業を観察・分析を行うことにより、通常学級に在籍する特別な支援を必要とする児童を取り巻く課題を明らかにした。研究方法は、2020年10月~11月に、特別な支援を必要とする児童1名(児童A)を含む公立小学校の小学5年生53名を対象とした単元名「食べて元気に」(5時間扱い)の授業をビデオ撮影するとともに、授業観察を行った。なお、グループ学習の際はICレコーダーにより班学習の様子を録音した。分析方法は、録音データを逐一文字化して、それを1)対象児童と教師との関わり,2)指導の工夫,3)対象児童と他児童との関わり,4)グループ学習の4観点で分析した。その結果、家庭科授業において、自分から他者に話しかけることが苦手な児童Aは、話し合いに参加していない時間が多くみられた。本授業はインクルーシブな家庭科授業ではあったが、チューターとチューティーのお互いの学習効果の向上を期待するためには、チューターとなる児童への教師による事前説明および留意事項の提示が必要であったと考えられる。また、本授業の課題を解決するため、本授業で用いた教材をもとに、チューターの負担を軽減するための授業ガイドラインの作成、およびピア・チュータリングとグループチュータリングを併用して取り入れた授業も提案した。前者のガイドラインは、チュータリングの項目を少なくし、順番を明確にした。後者はチューターとチューティーを交替しながら進めるように工夫した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍ではあったが、協力校のご理解により、感染防止を徹底したうえで授業観察を行うことが可能となったが、家庭科教員へのインタビュー調査は困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
インクルーシブな授業の実践的指導力を育成する現職教師教育プログラムを開発する際の示唆を得るため、海外の現職教師教育の先進的取り組みを行っている研究者および行政機関を選定し、インタビュー調査と現職教師への研修の参観・記録を実施する予定であるが、これらの計画がコロナ禍で執行できないようであれば、令和4年度に計画していたインクルーシブな家庭科授業を担当する現職家庭科教師の実践的指導力育成のための教育プログラムを検討し、試案したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは、今年度はコロナ禍の影響で、授業観察予定であった学校での協力が得られなかったことと、現職教員へのインタビュー調査を実施・分析できなかったためである。これらを次年度に実施する予定である。
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