研究課題/領域番号 |
20K02899
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研究機関 | 函館工業高等専門学校 |
研究代表者 |
下郡 啓夫 函館工業高等専門学校, 一般系, 教授 (00636392)
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研究分担者 |
平嶋 宗 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (10238355)
有賀 てるみ (有賀三夏) 東北芸術工科大学, 基盤教育研究センター, 講師 (40643755)
澤田 陽一 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (50584265)
藤原 宗幸 広島商船高等専門学校, その他部局等, 助教 (00881004)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | W型問題解決 / SECIモデル / センスメイキング / 知覚 / 思考 / 実行 / Visible Thinking / 知識構成型ジグソー法 |
研究実績の概要 |
W型問題解決モデルの発展形であるSECIモデルやセンスメイキングといった経営理論のプロセスには共通点があり,それを踏まえて,知的創造プロセスを【知覚】-【思考】-【実行】の3つのプロセスとして再整理した。また。【知覚】-【思考】-【実行】の3つのプロセスを,一般社団法人千總文化研究所との共同研究により教育プログラムに落とし込み,その効果検証を行った。 具体的には,ハーバード大学教育大学院のProject Zeroが提唱する,思考の可視化に着目した学習プログラムVisible Thinkingと,知識構成型ジグソー法により,知覚-思考のプロセスの開発を行っている(下郡・加藤 2022,一般社団法人千總文化研究所 2021,2021,2022)。この知覚-思考のプロセスの育成プログラム後,実行プロセスとして,①友禅染の色づくりのワークショップと職人との対話,②手描き友禅,手捺染,インクジェットプリントの3つの染色技術における人の手しごとと機械の技術の比較検証の2つのワークショップを実施している。 その結果,Visible Thinkingで回答の構造化ができている学生のチームは「実行」における色再現の精度が高い傾向が見られた。また,テキストマイニングの結果から,授業前は「着物は成人式に着るもの」といった漠然としたイメージであった学生たちが,授業後は伝統文化を未来に活用していこうという意識変容が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
美術の汎用的論理思考による問題解決において,ロジカル・ブレスト法,KJ法を起点に考える目処がついていたが,今年度はその論理的部分に,知覚部分の必要性を特定できた。またそのことを受けて,知的創造のプロセスを【知覚】-【思考】-【実行】の3段階に整理できたことで,教育プログラムの開発の目処がついたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,知覚の教育開発プログラムとして,ケースメソッドの教授法に着目する。また,美術のもつ創造性と論理性の関係について捉えていくとともに,それを踏まえて数学と工学,技術との関係を再整理する。そのことでSTEAM教育のモデルを提示する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍において,本来予定していた,美術大学における,美術の創造性と論理的思考力の関係の検証実験等が実施することができなかった。また,学会発表のオンライン化が進み,旅費の支出がなかったことなどが主な理由である。 次年度は、美術および数学の論理性,創造性の関係に関する実証実験および一般社団法人千總文化研究所や四日市高等学校等との教育プログラム共同開発のための出張費,学会参加旅費等に使用予定である。
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