研究課題/領域番号 |
20K02970
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
李 暁燕 九州大学, 共創学部, 准教授 (70726322)
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研究分担者 |
星野 晋 山口大学, 国際総合科学部, 准教授 (00259649)
副島 雄児 九州大学, 基幹教育院, 教授 (10206675)
フンク カロリン 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 教授 (70271400)
三木 洋一郎 九州大学, 基幹教育院, 教授 (80262476)
柴田 美紀 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 教授 (90310961)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 協働教育 / 多文化的 / 学際的 / 知識理論 / SciTS |
研究実績の概要 |
現代社会の複雑な問題を解決するため、多くの大学で学際教育が重視されている。しかし、学際教育の手法は、固定された理論モデルを欠き、教員個人の経験に依存する状況がある。これを踏まえ、3大学の教員と学部長にインタビュー調査を実施し、学際教育の現状と課題を把握した。2023年度には、収集されたデータを分析し、学会で発表するに至った。そこで、教員間での学際性の解釈や実践方法の相違が明らかになった。 学際教育の利点は、幅広い知識の習得である一方、デメリットとしては、専門性が高い学部に比べて、知識が広く薄くなる恐れがあり、専門性が深まらないという懸念が指摘されている。教育手法には、異なる学術領域の知識や手法を融合・応用するスキルの具現化が必要であり、これは効果的なカリキュラムの実行に欠かせない要素である。さらに、学際教育を推進するには、大学の組織構造の見直しや研究者へのインセンティブの設定も重要である。また、学部を開放し、学生が複数の分野から科目を選べるようなカリキュラムの開発が求められている。 2023年6月2日には、科研プロジェクトに参加する広島大学、山口大学、九州大学のメンバーが福岡で集まり、インタビュー結果を共有し、統一された分析方法に基づくさらなる分析と大学での教育改善への貢献を合意した。2024年2月22日には、広島大学で質的データ分析ソフトウェアMAXQDAの出張トレーニングが行われ、本科研プロジェクトのメンバー及び学生8名が参加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題はやや遅れている状況である。この遅れの主な原因は、過去のコロナウィル禍の影響で実施すべき調査が実施できなかったことにある。そのため、2022-2023年度には本研究プロジェクトを進めている三大学での調査やデータ分析収集及び分析に精一杯取り組んでいるが、やはり当初の計画のに比べてやや遅れてしまっている。しかしながら、2024年度にできる限り本研究目標に達成できるように努力していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度には、本科研プロジェクトに参加している広島大学、山口大学、九州大学で展開している学際教育の具体的な工夫を詳細に抽出し、これらの工夫が学生の学際性育成にどのように影響しているのかを定量的および質的に検証することを計画している。この分析を通じて、学際教育が学生の問題解決能力、批判的思考力、そして創造性に及ぼす効果を明らかにし、学際性を高める教育方法論の開発に資する。 また、それぞれの大学において、既に明らかになっている学際教育の課題を解決するための実践的な試みを行い、その効果を継続的に評価する。具体的には、異なる学問分野間でのコラボレーションを促進するプロジェクトベースのカリキュラムの導入、学際性を促進するための教員研修の充実、学生間の交流を深めるための学際的セミナーやワークショップの開催を予定している。これらの実践を通じて、教育プログラムの効果的な要素と改善点を検討し、実践的な学際教育の理論モデルを構築する。 さらに、上記の研究成果を体系的に論文化し、国内外の学会で積極的に発表することで、学際教育の議論をリードする。また、高い学術的影響力を持つジャーナルに研究論文を投稿し、学際教育に関する知見を広く学術界に普及させる。この一連の活動を通じて、学際教育の理論的基盤の強化と、効果的な教育実践の推進を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
2024年1月にハワイで行われた教育関連の国際学会にメンバー数名が発表に行く予定であったが、さまざまな事情でキャンセルとなったため、その分の旅費及び会議経費は支出できなかった。2024年度には三大学での各種調査及び国際会議に参加するための旅費及び人件費に本財源を充てる予定である。
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