研究課題/領域番号 |
20K02983
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研究機関 | 神戸常盤大学 |
研究代表者 |
光成 研一郎 神戸常盤大学, 教育学部こども教育学科, 教授 (10530727)
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研究分担者 |
伴仲 謙欣 神戸常盤大学短期大学部, 口腔保健学科, 助教 (50752119)
中田 康夫 神戸常盤大学, 保健科学部, 教授 (70295773)
高松 邦彦 神戸常盤大学, 保健科学部, 准教授 (80392017)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ICT / Eduinformatics / コンピテンシー / 可視化 |
研究実績の概要 |
大学における内部質保証システム(PDCAサイクル)の構築が強く求められている。学士課程全体で学生が身につけるべき知識、スキル、態度といった「学修成果」を明確にし、「学修成果」の達成のために設定された授業科目や授業内容に偏りや過不足がなく、網羅的に編成することが重要となる。 これを点検・評価するための方法の1つとして学修成果の達成にどの授業科目が寄与するかを示すカリキュラム・マップ(以下、CM)の作成が示されているが、従来の作成方法では、授業科目や授業内容に偏りや過不足がなく、網羅的であるかどうかを一目瞭然に判別することは困難であり、なおかつ多くの場合手動で行っているため非常に煩雑なうえ、授業評価を踏まえたうえで毎年シラバスを変更してもそれをすぐさま反映したCMを作成できないという課題が厳然として存在している。 そこで本研究は、教学面におけるPDCA サイクルを十全に円環させる一助として、インフォマティクス(Informatics)、データサイエンス(Data Science)、情報通信技術(Information and Communication Technology:以下、ICT)を活用した汎用的かつ、直感的に理解・認識し易い新たなCMの可視化法の開発を目指している。また、我々は近年、EducationとInformaticsを融合させたEduinformaticsを提唱しており、Eduinformaticsによる開発も目指している。 本年度は、データの準備および、そのデータの一部を利用して、新たな学修成果の可視化法を開発し、国際学会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、初年度ということもあり、まず解析をするためのデータの準備を行った。神戸常盤大学は、第1次大学改革により、2017年度に新カリキュラムをスタートさせた。その新カリキュラムが、2020年度に4年を経過し、初めて1年次から4年次まで新カリキュラムとなった。 そこで、2020年度における全学年、全教科のシラバスデータ(紙)から、解析に必要な各授業におけるコンピテンシー(大学が定義した19の諸能力と、ときわコンピテンシー)のデータを取得、整理、クリーニングを行った。これらのコンピテンシーベースの教育(Competency based education, CBE)では、各授業に対してどのコンピテンシーがどの程度の割合で含まれているかについてシラバスに記載されている。 最終的には、これらのデータを用いて、ネットワークなどを用いて可視化することによって直感的に理解・認識し易い新たなカリキュラム・マップの可視化法の開発を目指している。 本年度は、これらのデータの一部を用いて、学修成果の可視化を行い、国際学会であるIEEE/IIAI International Congress on Applied Information Technology (IEEE/IIAI AIT 2020)において、"University Reform by Significant Other Groups in Eduinformatics"というタイトルでProceeding Paperの発表および、口頭発表を行った。 その結果、Outstanding paper awardを受賞した。
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今後の研究の推進方策 |
われわれは、2017 年にはコサイン類似度、多次元尺度構成法、散布図を用いた方法を開発し、2018 年にはより見やすさを追求して多次元尺度構成法に代わり、t-SNE 法(t-distributed stochasticneighbor embedding)を用いたカリキュラムの新可視化法を開発している。 これら一連の成果は、教員と職員による教職協働によるものであったと既に報告している。しかし、教員と職員にのみならず、在学生と卒業生、そして本学に関連する第三者が一体となって取り組んだ成果であった。 一方、近年の大学改革において ステークホルダーという用語がキーワードの1つになっている。この用語の本意は「そのグループからの支援がなければ、当該組織が存続し得ないようなグループ」のことであることから、ここではこれを「重要他集団」と名付けた。 この、重要他集団(SOGRS)により、本年度のデータを準備した。 そこで、来年以降もこのSOGRSの集団で、基本的なデータを準備していく。また、本年度は、学修成果の可視化をコンピテンシーベースで行ったが、来年度はより直感的にわかりやすいネットワークを用いた可視化についても取り組んでいく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、COVID-19により、計画通りに研究を遂行することが難しかった。そのため、使用額に差が生じている。
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