研究課題/領域番号 |
20K03025
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
成田 有吾 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (50242954)
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研究分担者 |
井村 保 中部学院大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (50301619)
中井 三智子 鈴鹿医療科学大学, 看護学部, 教授 (60726503)
田中 優司 愛知教育大学, 学内共同利用施設等, 教授 (70377654)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / 拡大代替コミュニケーション(AAC) / 遠隔 / 研修 |
研究実績の概要 |
本研究テーマは,筋萎縮性側索硬化症(ALS)を念頭に,コミュニケーションに支障を来した難病患者・家族(療養者)へのコミュニケーション支援である.一方で,医師・看護師・療法士・臨床心理士等の専門職の業務は増大しつつある.専門領域を学習する対象者に,多忙な日々でも受講しやすい遠隔での研修システムを構築した.IT関連と大学教育における各種情報の保護・管理の仕組みへの知識と経験が引き続き集積された.参加5大学での研究倫理審査の承認を経て,自己学習ソフト,eラーニングシステム(Learning Box,株式会社龍野情報システム)に教育内容を掲載した.対面での教育で「たとえ半日のプログラムにおいても受講者にコミュニケーション支援の知識,技術を与え,心理的負担感を軽減する」ことを,遠隔研修においても同等かどうかの検討を継続してきた.2023年4月までに計40名が2回の研修を完了した.初回と2回目受講(6か月後)の比較にて,プレテスト,ポストテスト,および筋萎縮性側索硬化症の疾患理解に関するテストにおいては,今のところ明瞭な差を確認できなかったが,透明文字盤(Flick)および口文字の伝達文字数の増加,visual analogue scale (VAS)でのFlickおよび意思伝達装置使用の負担感軽減が示された.一方,口文字での負担感では有意な低下が示されなかった.口文字においては短期,一度だけの経験では負担感軽減は不十分である可能性があるが,例数がまだ不十分とも考えられる.2023年度1年間の延長により結果の集積と分析を進める.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一昨年度(2020年度)からのCOVID-19 pandemicは遷延し,2022年末まで感染拡大が断続的・波状的に続いた.大学教育においても遠隔講義等が実施され,研究参加候補者への直接の説明機会が乏しいまま推移した.COVID-19のPandemic下でも2022年度末までに合計41回のWeb上の検討会を行い,遠隔での研修資料の構築,IT機器の利用について調整を行い,実際の研修を5大学で継続した.一部の実習ではAAC機器:文字盤および意思伝達装置(レッツチャット)を含めた教材一式を自宅等へ宅配便送付して,完全な遠隔での研修を行った.40例が2回の研修を2022年度末までに完了した.想定対象数より少ないものの,Pandemic下の進捗としては,やむを得ない状況かと考える.
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今後の研究の推進方策 |
既に,遠隔でのAAC研修が主管校を中心に各大学で実施されている.また,ほぼ毎月の遠隔(Zoom経由)ミーティングにおいて,連絡を密にとりながら,各大学において対象者の積み増しが試みられている.
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度早々より,対象の集積が予定通り進まなかったことから,次年度への研究期間の延長の可能性を考えた.このため,次年度使用を見越し,予算使用を控えた.理由は,一昨年度(2020年度)からのCOVID-19 pandemicは遷延し,2022年末まで感染拡大が断続的・波状的に続き,大学教育においても遠隔講義等が実施され,研究参加候補者への直接の説明機会が乏しいまま推移したことによる.2023年度はCOVID-19も第五類感染症に変更され,対象例数の上積みが見込まれる.これにともなう必要経費と研究成果のとりまとめのため予算額を使用する.
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