研究課題/領域番号 |
20K03043
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
大塚 玲 静岡大学, 教育学部, 教授 (00233172)
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研究分担者 |
山元 薫 静岡大学, 教育学部, 准教授 (00755944)
ヤマモト・ルシア エミコ 静岡大学, 教育学部, 准教授 (20451495)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 外国人児童生徒 / 特別支援学級 / 日本語指導 / 特別の教育的ニーズ / 特別支援教育 |
研究実績の概要 |
研究①:自治体における外国人児童生徒に対する教育支援体制等に関する聞き取り調査 静岡県内3市の教育委員会の外国人児童生徒担当の指導主事を対象に、当該教育委員会が管轄する公立小学校・中学校の通常の学級や特別支援学級に在籍する外国人児童生徒の状況や、外国人児童生徒とその保護者に対する教育支援の取り組みの現状、教育委員会として実施している外国人児童生徒に対する就学支援の現状、外部の支援組織や専門機関との連携、さらに外国人児童生徒に対する支援の取り組みの成果と課題について、聞き取り調査を実施した。 その結果、外国人児童生徒が在籍している小・中学校は、A市とC市では91%、B市では88%に及んでいることが認められた。外国人児童生徒のうち日本語指導が必要な小学生の割合はA市で41%、B市57%、C市89%、中学生はA市で25%、B市20%、C市92%と、その割合は市によって大きく異なった。知的障害特別支援学級における外国人児童生徒の在籍率は、3市ともに日本人児童生徒に比べて高かったが、自閉症・情緒障害特別支援学級ではそうではなかった。 研究②:外国人児童が在籍する特別支援学級の担任への聞き取り調査 A市とC市の小学校で外国人児童が在籍している特別支援学級の担任を対象に、特別支援学級において外国人児童を指導する上での困難等について聞き取り調査を行った。その結果、担任が抱える困難については、①児童の指導に関する困難、②行政との連携に関する困難、③保護者対応に関する困難、④学級経営に関する困難の4つに大別できた。特別支援学級担任が独自に抱える困難としては、①外国人児童の行動が障害によるものか、日本語習得によるものなのかの判断が困難なこと、②加配のない小学校では特別支援学級担任が日本語指導を実施することの困難さ、③保護者に対して特別支援学級や障害などの理解を図ることの困難さがあげられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度は、自治体における教育支援体制の調査(訪問調査)を計画していた。具体的には、外国人児童生徒が小・中学校に多く在籍する5都府県(愛知県、神奈川県、東京都、静岡県、大阪府を予定)から外国人児童生徒が多い市区町村を1つ選定し、外国人児童生徒に対する教育支援体制や障害のある外国人児童生徒の就学支援の仕組みを把握する目的で教育委員会を対象に訪問調査を実施する予定であった。また、日本語指導教室設置校、教育センター、拠点校などの当該自治体の日本語指導に関わる教育機関等についても聞き取り調査を行う予定であった。しかしながら、コロナウイルス感染拡大により、小・中学校の休校などの事態が生じ、管轄する市区町村の教育委員会も多忙を極め、調査協力を依頼できるような状況ではなかった。さらに、大学当局から緊急事態宣言の対象区域に属する都道府県や対象地域を目的地又は経由地とする出張が禁止されたりしたため、協力が得られた県内での訪問調査に限定せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、以下の研究活動を行う予定である。 研究①:自治体における教育支援体制の調査(訪問調査) 外国人児童生徒が小・中学校に多く在籍する5都府県(愛知県、神奈川県、東京都、静岡県、大阪府を予定)から外国人児童生徒が多い市区町村をいくつか選定し、外国人児童生徒に対する教育支援体制や障害のある外国人児童生徒の就学支援の仕組みを把握する目的で教育委員会を対象に訪問調査を実施する。また、日本語指導教室設置校、教育センター、拠点校などの当該自治体の日本語指導に関わる教育機関等についても聞き取り調査を行う。 研究②:外国人児童が在籍する特別支援学級の担任への聞き取り調査 研究①において教育委員会に対する訪問調査を実施した自治体の小・中学校を対象に郵送による質問紙調査を実施する。特別支援学級担任に対しては、在籍する外国人児童生徒の実態(在籍状況や障害の程度)や教育の取り組みの成果や課題について質問する。また、管理職に対して通常学級に在籍する外国人児童生徒の在籍状況や日本語指導を必要とする児童生徒への支援体制、特別支援学級の活用と連携について質問する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:コロナウイルス感染拡大により、県外の自治体での教育支援体制の調査(訪問調査)が実施できなかったため当初予定していた旅費や宿泊費を使用しなかったこととそれにかかわるデータの整理や分析のために用意していた資料整理のための人件費(アルバイト費用)を使用しなかったため。また、学会での成果発表がオンライン開催となり、これについても旅費や宿泊費を使用しなかったためである。 使用計画: 外国人児童生徒が小・中学校に多く在籍する5都府県(愛知県、神奈川県、東京都、静岡県、大阪府を予定)への訪問庁のための旅費と宿泊費用に充てる予定である。また、小・中学校を対象に郵送による質問紙調査を実施するための郵送費用やデータ整理と分析のための人件費(アルバイト費用)を予定している。しかしながら、コロナウイルス感染拡大の状況によっては、訪問調査等ができなくなる可能性もあるので、その状況を考慮しながら使途の変更も考える必要がある。
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