研究課題/領域番号 |
20K03050
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研究機関 | 山梨県立大学 |
研究代表者 |
阿部 美穂子 山梨県立大学, 看護学部, 教授 (70515907)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 障害児者のきょうだい / きょうだい支援 / 障害児家族QOL / 障害児家族支援 |
研究実績の概要 |
2021年度は、本研究の対象者である思春期後期から青年期前期に該当する、障害児者のきょうだいに対するアンケート調査をオンライン形式で実施した。 研究協力者に依頼し、全国きょうだいの会、北海道、仙台、神奈川、東京、大阪各地のきょうだい支援団体、甲信越に設置されている特別支援学校24校、及び、保護者団体に依頼し、Google Formsによる、匿名アンケートのリンク先を障害児者家庭、及びきょうだいに紙面、あるいは、メール、ツイッターなどで周知した。現時点で、166名のきょうだいから回答を得ており、この後も継続して収集する予定である。 中間まとめとして、2022年4月末現在まで得られたデータを以下に整理する。回答者の内訳は、兄24%、姉53%、弟11%、妹12%であり、平均年例は18.9歳(SD:2.57)であった。障害のある同胞の性別は男65%、女35%で、その平均年齢は16.6歳(SD:4.71)であった。同胞の62%は特別支援学校に在籍しており最も多数を占め、次いで、18歳以上を対象とした自宅からの通所施設(デイサービスや就労支援施設等)の在籍が17%であった。また同胞の障害種(複数選択)で最も多数を占めたのが、知的障害(66%)、次いで、自閉症スペクトラム障害(32%)であった。きょうだいに対する質問項目の回答における特徴は、「家族のことで悩むことがある」について「現在悩むことがある」40%、「以前は悩んでいたが、現在は悩むことがない」22%、「現在も、以前も悩むことはない」38%であった。また、「同胞と家族のことで、知りたい、学びたい」内容(複数選択)で最も高い選択率を占めたのは、「親なき後の自分と同胞との生活がどうなるか」(62%)であり、先に実施した親の希望調査結果(阿部,2021)と同じ傾向にあることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により、2020年に計画していたアンケート調査回答者のリクルートができず、次年度送りになったことから、計画全体が1年間遅れている状況である。2021年度は、アンケート調査方法をオンラインに切り替えたことで、研究協力者のサポートにより、匿名性を保持しながら、回答を得ることが可能となり、調査実施を実現することができた。このペースで、順に1年遅れで研究を進めることになると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在実施中のアンケート調査は、2022年8月までを収集期間とし、その後、得られたデータの分析を行い、支援ニーズを明らかにする。 引き続き、分析結果から示された支援ニーズに基づき、思春期後期から青年期前期に該当する、障害児者のきょうだいとその家族に対する支援プログラムの素案を作成する。その後、コロナ感染状況を鑑みつつ、可能なプログラムの実践方法を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度より予定していた研究協力機関への調査、情報収集等のための出張が引き続き、困難な状態であったことから、その予算額が未使用となった。これについては、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き次第、使用する予定である。さらに、本年度から次年度に向けて開発する予定の支援プログラムに関し、研究協力者と検討しながら、対面、オンライン実施の両方での実施方法を想定し、実施に必要となる物品を購入するための費用に充てる予定である。
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