研究課題/領域番号 |
20K03116
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研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
山口 昌也 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 音声言語研究領域, 准教授 (30302920)
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研究分担者 |
森 篤嗣 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (30407209)
北村 雅則 南山大学, 国際教養学部, 准教授 (50455424)
柳田 直美 一橋大学, 森有礼高等教育国際流動化機構, 准教授 (60635291)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ふりかえり / 教育活動支援システム / 協同学習 / ディスカッション練習 / プレゼンテーション練習 / 教師教育 |
研究実績の概要 |
「研究実施計画」では,本年度の計画として,(a)前年度に行った設計に基づく支援システムの実現,(b)プロトタイプの支援システムに基づく,実践の試行を挙げていた。ただし,前年度,コロナ禍の影響で,対面での実践が難しく,オンライン形態の実践に対応する必要があることから,支援システム,および,実践プログラムの設計を変更している。そのため,(a)の支援システムの実現については,オンライン形態の実践を考慮した実装を行った。また,コロナ禍の影響が継続し,前年度からさらに教育環境に変化があったことから,(b)の予備的実践は行わず,実践プログラムを現実的に実施できる形態に再設計した。以下,詳細について述べる。 (a)支援システムの実現:ディスカッション練習などの協同型の教育活動を観察した結果をグループで共有するための機能を実装した。具体的には,教育活動向けの観察支援システムFishWatchrに,ビデオファイル,観察結果ファイルをP2Pで共有する機能を追加した。この機能を利用することにより,グループのメンバーに観察結果を一括送信したり,メンバー全員の観察結果を収集し,マージすることが可能になった。 (b)実践プログラムの再検討:前年はオンラインを前提に設計を行ったが,一部の学生は対面で活動するといったような,ハイブリッド型の実践形態が求められるようになってきた。そのため,4タイプの実践プログラム(プレゼンテーション練習,ディスカッション練習[2種類],教師教育)を部分的に再設計した。 (c)成果物の公開:(a)(b)の成果などを学会発表(3件)した。また,インターネットで公開中の教育向け観察支援システムFishWatchr,および,FishWatchr Miniに対して,セキュリティ対策を施した。これは,本研究で構築する支援システムは,これらのシステムを拡張する形で実現するためである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(a) 実践プログラムの設計:やや遅れている / 研究実績の概要の(a)で述べたとおり,コロナ禍の影響で,オンラインと対面が混在するハイブリッド型の実践に対応できるよう,前年度に行った設計を部分的に見直した。設計自体は,おおむね完了している。ただし,当初の予定では,支援システムのプロトタイプを使って,予備的な実践を行い,改善を図ることを考えていたが,新規の試行は教育現場への負荷が高いため,実施できていない。 (b) 支援システムの設計:やや遅れている / 予定している支援方法は,研究実績の概要の(b)で述べた資料の共有の他に,(1)観察結果の分析支援,(2)分析結果などの提示支援(グループ間での振り返り時の説明用)を予定している。(1)については,グループ全員の観察結果の視覚化手法の設計を行った。また,設計した視覚化手法を既存の実践結果に適用することにより,その効果を確認した。(2)については,より大人数での利用(クラス全体でのふりかえり)に対応した支援ができるよう,(1)の方法を拡張することを予定だが,設計は完了していない。 (c) 支援システムの実現:遅れている / 当初の計画では,(b)で述べた三つの支援方法を実装したプロトタイプシステムで予備的な実践を行うことを計画していた。しかし,実現しているのは資料の共有のみで,残りの二つは設計段階にどまっている。
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今後の研究の推進方策 |
(a) 予備的実践の実施:実施が遅れている予備的な実践を行い,実践プログラム,および,支援システムを評価,改善する。なお,支援システムの支援機能は実装が済んだところから段階的に使用していく。 (b) 実践方法,検証方法の変更: 研究実績の概要の(b)で述べた実践プログラムでは,対面・オンライン両方の形態で授業を受ける学生が混在する環境でも実施できるように設計されており,従来行われていたようなリアルタイムでの実技の観察だけでなく,ビデオ収録された実技の観察も可能になっている。したがって,可能な限り,教育現場への負荷を下げるよう,実践内容を調整する。ただ,コロナ禍の影響が継続し,実際の授業への導入が難しくなった場合は,被験者を用いた実験により検証することを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
■次年度使用額が生じた理由 (a)コロナ禍の影響で実践プログラム,支援システムの設計に変更が生じ,開発用の機器,実践時に使用する機材などの購入を見合わせたため,(b)コロナ禍の影響で,研究打ち合わせや学会発表などに伴う旅費の支出がなかったため ■使用計画 開発用の機器,実践時に使用する機材の購入,成果公開用の準備に使用する。
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備考 |
(1), (2)は支援システムのホームページである。システム自体の公開も行っている。(3)(4)ではシステムのソースコードを公開している。
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