研究課題/領域番号 |
20K03461
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
木谷 秀勝 山口大学, 教育学部, 教授 (50225083)
|
研究分担者 |
岩男 芙美 中村学園大学, 教育学部, 助手 (00781030)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 女性の自閉スペクトラム症 / 内在化障害 / 自己理解 |
研究実績の概要 |
今年度は、新型コロナウィルス感染の拡大の影響を受けたため、①女性ASDを対象とした半構造化面接を通しての質的分析、②既に試行してきた女性ASDを対象とした短期集中型「自己理解」プログラム(1泊2日)の実施を、次年度に延期することとした。したがって、本年度は、オンラインを活用したデイキャンプ方式で通称「ガールの集い」を以下のとおり実施することが可能であった。実施回数:7月、9月、1月(2回)の計4回、日曜日の午後に実施した。参加者:小学6年生から20代までの専門医からASDの診断及び診断告知を受けている女性12名が参加した。参加に際しては、保護者と本人からの同意を得たうえで参加してもらい、小学生の場合には保護者が近くで様子を見てもらうように依頼した。スタッフ:統括責任者の木谷を除いて、全員が女性の臨床心理士がスタッフとして会全体の進行をサポートした。会全体の進行は、共同研究者の岩男芙美が担当した。実施方法:今年度はZOOMを活用して、基本的にはオンラインで開催した。9月は最小限のスタッフと講師(夏の化粧がテーマ)の女性ASD当事者だけが参集(感染予防対策を図ったうえの参加とした)した。ZOOMを活用したために、個人情報の保護に十分に配慮を行った。 その結果として、様々な年齢層の女性ASDの参加により、思春期の参加者にとっては、将来の青年期の過ごし方を不安なく学ぶことができただけでなく、青年期の参加者にとっても、女性スタッフの体験をモデルとすることや、同じ体験をした当事者がいたことで、孤立感を予防するとともに、今後の心身の健康の維持のための具体的スキルを獲得することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス感染の拡大のため、調査対象である女性ASDに対して、十分に安全な状況での半構造化面接や1泊2日でのプログラムの計画を立案・実行することが必須となった。そのため、共同研究者との協議の結果、安全性を担保するだけでなく、女性ASD当事者が安心かつ安全に面接を受けることができるため、またプログラムに参加できるためにも、延期することをやむなしと結論した。したがって、計画の大半を次年度に繰り越したために、当初の計画から大きく遅れた結果となった。ただし、既に試行している計画でもあり、次年度は確実に実施できる予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度は、新型コロナウィルス感染の状況にもよるが、今年度実施できなかった女性ASDを対象とした半構造化面接を行うこと、短期集中型「自己理解」プログラム(1泊2日)を行なう計画である。ただし、感染状況を十分に確認しながら、安全かつ安心した調査環境を保つことを最優先しながら計画を進める予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
既に今年度の実績報告等で説明したように、新型コロナウィルス感染の影響を受けたため、今年度支出予定であった研究計画等を次年度に延期せざるを得なかったため。次年度では、今年度実施できなかった10名のASD女性の半構造化面接を、さらに新規に10名に対して実施することとする。また、短期集中型「自己理解」プログラムも参加人数が増えることが予想されるために、ASD女性に関する専門的知識を有する臨床心理士・公認心理師をスタッフとして、増員する必要性が出てくる。そのための謝金の拡充を計画している。さらに、今年度参加ができなかった学会及び学会報告を計画するだけでなく、ASD女性が抱える内在化障害に関する成果報告会を各地で開催することを予定している。
|
備考 |
金子書房が主催するオンラインセミナーにおいて、2020年11月29日(日)に「発達障害のある女の子・女性の支援」、2021年3月21日(日)に「発達障害のある女の子・女性への心理アセスメント」の講演を行った。いずれも令和2年度科学研究費補助金による成果報告である。
|